溺愛系と天然系が恋しました!
駅から5分位歩いた所で、きーち先輩は通りに面した公園にあたしを引き連れて行く。
「きーち先輩?家に行くんじゃないんですか?」
「寄り道。」
「寄り道・・・ですか?」
「うん、そう。」
あたしの問いかけに、きーち先輩は短い返事しかしなかった。
手を引かれたまま、公園内にある自販機の前まで来ると、きーち先輩はジーンズのポケットに入っていた小銭を片手で器用に取り出し、硬貨を投入してミネラルウォーターのボタンを押した。
―――ガコン・・・
きーち先輩は、喉が渇いた時には「水派」の人なんですね・・・
あたしは「緑茶派」です・・・
先輩はそのミネラルウォーターを1本だけ買うと、公園の端の方にあるベンチに向かってあたしを引き連れて行く。
その行動が不思議でならなかった。
いつものきーち先輩は、必ずと言っていいほど
『美優は、何飲む?』
って聞いてくれていたのに、言わなかったから。
だから、
きっとこれにも何かしらの意図があるんじゃないかな・・・
とは、薄々感じてはいたんだ・・・