新撰組と妖狐ちゃん!
「おい、春だってのに、溜息つくなよ。
幸せ逃げるぞ(笑)」
一番隊の隊列の最後尾を
ぶらぶらと歩いていたあたしに
声をかけて来たのは
先ほど仲良くなった(?)同じ隊の中村だった。
極力他の人間と関わりを持ちたくなかったが、こいつはなんか話しやすい奴だったので、まぁ、よしとしよう。
「幸せ逃げるぞっつったって、
今の俺には幸せなんて……あ。」
ふと目に入ったのは、いつも通っていた甘味処。
「…ん?楠木、お前、甘味が好きなのか?」
甘味処をボーッと眺めるあたしを見て言った。
なにかしら甘い物を食べてないと
落ち着かないあたしは、
思わず喉をゴクっと鳴らした。