新撰組と妖狐ちゃん!


あたしは、
震える手を土方と沖田にかざした。


「お願…い…傷を…治…して…っ」


すると、平助や永倉と同じく、
土方と沖田の傷が緑色にひかり、
ゆっくりと塞がっていった。


「…!?傷が!?」


驚いている土方。


けど、相当深い傷が多く、
なかなかすべて治らない。


「…お願いだから…っ」


あたしが傷つけたせいで、
もし死んじゃったらどうしよう…!!


そんな事が頭をよぎって、
あたしは泣きながら傷を治し続けた。


もちろん、こいつらがすぐ死ぬような奴らじゃないことは分かってる。


けれど、不安で不安で仕方なかった。


そして、やっと傷が全部塞がったかと思うと、あたしは力が抜けてへなへなと座り込んだ。


罪悪感でいっぱいで、土方たちを見れずに、あたしは俯いた。


ぽたぽたと落ちる血と涙が
相変わらず床を濡らし続ける。


すると、不意に足音がしたかと思うと、


「!?」


ギュッと身体を抱きしめられた。


「すまねぇ…。俺が弱いばかりに…
お前を…っ」


そう力なく言ったのは、
傷が治って動けるようになった土方だった。


この傷は土方がやったのか…


でも、治癒能力のあるあたしなら、
こんな傷、一日、二日経てば治る。


だから全然大丈夫。


そう言いたかったけど、


「ごめ…んなさ…い…っ」


あたしの口からは、ごめんなさいしか出てこなかった。


謝っても謝っても
罪悪感はなかなか消えない。


…いや、
むしろ消えてはいけないんだと思う。


あたしはまだまだ弱いって事だ。


土方はあたしよりずっと強いよ。


もちろん、沖田も。


きっと、あたしを傷つけないようにしてくれてたんだろう。


容赦無く殺そうとするあたしを。


仲間を傷つけるようなあたしには、
此処(新撰組)にいる資格なんて






…無いんだ。

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