新撰組と妖狐ちゃん!
土方side
日向が不思議な力を使って
俺たちの傷を必死に直してくれた。
きっと妖怪の力かなんかだろう。
自分の方が大怪我してるってのに…
へなへなと座り込んだ日向の傷からぽたぽたと血が落ちた。
そして、俯いた顔からは涙が落ちた。
それがどんどん床を濡らしていく。
きっと、俺たちを斬った罪悪感があるんだろう。
操られてたんだから仕方なかったってのに…
俺は治してもらって楽になった身体を動かし、日向の元へ行って小さく震える身体を抱きしめた。
「すまねぇ…。俺が弱いばかりに…
お前を…」
…斬ってしまった。
惚れた女を守るどころか、
傷つけてしまった。
…情けねぇ。
「ごめ…んなさ…い…っ」
日向はまた謝った。
…どんだけ、責任感じてんだこいつは。
「…謝んじゃねぇ。お前は操られてたんだ。本心じゃねぇんだろ?それに、怪我だって治してくれたじゃねぇか。
…ほら、手当てしねぇと。」
俺は、日向から身体を離し、
傷の具合を見ようとした。
けど、日向はふらふらしながら
立ち上がり、こう言った。
「…ごめん、土方。
沖田や皆にもごめんって伝えといて…」
「は?何言って…」
すると、
フラフラしながらゆっくりと歩き出した。
向かった先は、
「日向!テメっ何して!!??」
部屋の窓だった。
まさか飛び降りる気じゃ…!!
いくら、日向の身体能力でも
二階からあの怪我じゃ…
俺は日向を止めようと
窓の元へと走ったが、
「…じゃあな。
あたしには、皆といる資格がないや」
日向はそう儚げに笑うと、
トンっと床を蹴り、
「!?」
窓の外へと飛び出した。
「日向っ!!!!」
日向を掴もうと伸ばした俺の手は、
ただ空気を掴んだだけだった。