新撰組と妖狐ちゃん!
土方side
九名討ち取り四名捕縛の戦果を上げた
池田屋事件から早一週間。
世間に新撰組の名が知れ渡り、
幕府に功績を称えられ、
新撰組にとっては嬉し過ぎる事だった。
けれど、それとは反対に、
俺ら幹部の皆の気分は下がるばかりだ。
理由は、
…日向の事。
あの日以来、日向は行方不明のまま。
監察方にずっと探してもらってるし、
平隊士たちには公にしていないので
あんまり大きくは動けないが、
幹部も巡察の時などに探している。
けれど、
一向に手がかりが見つからない。
こんな事になるなら、
池田屋に連れていかなければ良かった。
俺がもっと強ければ
日向を傷つけずに済んだのに。
あの時、
ちゃんと引き留めておけば良かった。
もっと、ちゃんと、
お前のせいじゃないって
言っとけば良かった。
どんどん後悔の波が押し寄せてくる。
俺は書類を書く手をとめ、
文机に突っ伏した。
ちっ…お前のせいで
全く仕事が進まねぇじゃねぇかよ畜生。
帰ってきたら
めいいっぱいこき使ってやらぁ。
俺の仕事が進まないぶん、
テメェの仕事を増やしてやる。
「日向…」
…早く戻ってこいよ…。
俺の小さな呟きは、
誰にも聞こえる事はなかった。