新撰組と妖狐ちゃん!


「はい、次は髪ー♫」


「んで、次はお化粧ー♫」


先行き不安なあたしの事など知る由もない鈴ちゃんは、テキパキと事を終わらせていく。


そこであたしは、ふと思った事を聞いた。


「…鈴ちゃんってさ、何才??」


「ん?私はねー、14だよっ」


…Oh…No…←←


「…まじでか。」


あたしより2才も年下だよ鈴ちゃん。


2才も年下なのに、
あたしよりもずっと女子力高いんですけど!!


はぁ…
何かもう…
あたしは刀に生きるしかないのね…(泣)


…ん?…刀?


「ああーーー!!!」


「わわっ!?どうしたの日向ちゃん!?」


突然大声をあげたあたしに、
ビクッと驚く鈴ちゃん。


ああ…可愛いなぁ…


…じゃなくて←


「あたしの刀、あっちに置いてきたままだ…」


「刀?」


「うん。家族の形見でもあるし、
妖刀でもある。」


あっちとは、池田屋の事だ。


そういえば、刀落としたまま、
飛び出して来たんだっけ…


「え!?じゃあ、取りに行かないと…」


「…取りに行きたいのは山々だけど…
もうあそこには無いかもなぁー…」


あれから一週間も経ってる。
後片付けの時に誰かに取られてるか、
どっかの商人が売りに出しちゃうか、
もしくは、土方がもし親切だった場合←
…新撰組の元にあるか。


うん、無理だな。無理。


「え、大事な物なら取りに行かないとダメだよっ。しかも、妖刀なら悪い奴に取られたら悪用されるかもしれないしっ」


ちなみに私のも妖刀だよっ
と鈴ちゃん。


そうだよ。
あたし、楓月をまだ斬ってない。


もし、あたしの刀が楓月の元に渡ったら…


今度は操られるだけじゃすまないな…


あたしは、思わず身震いをした←


「じゃあ、今日のお仕事が終わったら探しに行こう?私も一緒に行ったげる♫」


ほら、出来たよっ!
そう言って、鈴ちゃんはあたしを立たせ、手鏡を渡してきた。


「…。」


…。


…鏡に写っているこの人はダレデスカ?


そこには、あたしとは全くの別人で
綺麗な人が写っていた←


ナニコレ、鏡の向こうに誰かいるノ?


うん、そうだ。
きっと、此処の花魁さんが鏡の向こうから覗いているんだよ←
(どうやって!?←)


いいなぁ、あたしとその顔変わって欲しいわ←
(いや、貴女ですから←)


あたしが、鏡と睨めっこしていると、


「日向ちゃん元がいいから、ちょっとお化粧するだけでも綺麗っ!」


と、鈴ちゃんがキャーキャーと騒いでいる←


…。


「あたし…


…化けるの上手いわ、やっぱり。」


前と同じく、
複雑な心境に陥った日向なのでした←

< 646 / 715 >

この作品をシェア

pagetop