新撰組と妖狐ちゃん!


土方side


ダダダダダ…


…何だようるせぇ…


何処からか聞こえてくる足音に、
俺は目を覚ました。


というか、さっき寝たばっかなんだが。
まだ朝にもなってねぇじゃねぇか。


まだ、真っ暗な屯所内に響く足音は、
徐々に此方に近づいている。


そして、


スッパーンッ!!


「土方さん!!!今はあの世でじゃなくていいんで起きてください!!!」


「…いつかはあの世で起きろってかテメェ。」


何でこんなにいい音がするのかってぐらい勢いよく開け放たれた襖の向こうには、息を切らした総司が立っていた。


「ったく、夜中に何の用だよ。」


俺が頭をかきながら、
布団から上半身を起こすと、
総司がガッと肩を掴んで言った。


「咳が止まったんです、咳が!」


「…それ言うためだけに俺を起こしたってんなら今すぐそこに直れ、斬ってやる。」


俺は顔を引きつらせながら言った。


何度も言うが、
低血圧な俺は寝起きが悪い。


そして何故かテンションの高い総司に
さらにイライラしていると、


総司は肩を掴んだまま、今度はガクガクと揺らして言った。


次に聞いた言葉は、
イライラをも吹き飛ばすような
吉報だった。


「だ〜か〜らぁ!


…緑色の光によって咳が止まったんですよ!!!」


「!?それは本当か!?」


緑色の光。


それは、日向が俺たちの怪我を直してくれた時に見た光だ。


新撰組にそんな力を使える奴なんて、
日向以外に居るわけがない。


俺はフッと笑みを浮かべた。


「何ですか、土方さん。
急にニヤけるなんて。気持ち悪いなぁ」


総司が嫌そうな顔をして、
肩から手を離したが、
今はそんなの気にならなかった。


「総司、俺からもいい情報だ。
さっき、俺の部屋にあった日向の刀が盗まれた。一瞬だけ犯人を見て、寝起きで確信は持てなかったんだが…
今の話で確信した。


…盗んでいったのは、日向だ。」


「!?じゃあ、日向は刀を取りに此処に来たって事ですか?」


「あぁ、多分な。
今、山崎に後を追わせてる。」


あいつ、
コソコソ刀を取りに来といて
ばっちり来た証拠残してるじゃねぇか。


意図的にやったのか?
それとも、ただ単に馬鹿なだけなのか?
(答え。…馬鹿なだけです←)


まぁ、どちらにせよ、


「日向が見つかるのは時間の問題だな。」


「そうですね。土方さんが寝ぼけてなかったら、もっと時間短縮出来たのに←」


総司がじとっとした目で見てきた。


「うるせぇ。しゃあねぇだろ、全く気配なかったんだ。気づくわけねぇ。」


それに、と俺は続ける。


「第一、俺は敵やら敵意がある奴の気配はすぐ察知するんでな。俺が起きなかったって事はそういう奴じゃねぇって事だ。」


まぁ、逆に言うと、
近藤さんとか信頼してる奴の前では
一回寝たら全く起きねぇって事だ←


すると、


「僕の場合は起きるんですね。
信頼されてないんですかー。
僕、悲しいなぁ。」


総司が泣き真似をした←


「そりゃあ、テメェの前で寝たら何されるかたまったもんじゃねぇからな。」


泣き真似すんな気持ち悪りぃ、
と顔を引きつらせた。


そして、はぁ…と溜息をついて言った。


「…別に信頼してねぇ訳じゃねぇよ。
それはテメェも分かってんだろ。」


俺がぶっきらぼうに言うと、
総司が暫く黙って、こう言った。


「土方さん…










真面目に気持ち悪いです。」












「総司ぃいいいいい!!!!!」










そんなこんなで、
今日も夜は更けてゆく。








無理やり終わらせるなァアア!!
by 土方


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