新撰組と妖狐ちゃん!


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「鈴ちゃん…マジで行くのか…?」


「そうだよ♫」


必死の抵抗も虚しく、あたしは今現在、
その特別なお客さんがいる座敷の襖の前でございます。←


そして、何故か鈴ちゃんの笑顔が黒くて
この先に進む事ができておりませぬ←


何だ、この先に何があるんだ…!!


その黒い笑顔の意味を教えてくれ、
鈴ちゃん。


それに、いつもは一つのお座敷に2、3人は付いててくれるのに、


「…何であたし一人…。」


この島原で一番広いお座敷に
あたしたった一人で挑めと!?


いやいやいやいや。
これは馬鹿だとしか言いようがねーよ。
島原を潰すのと同じ事だよ←


あたしがずっと襖の前で立ち止まっていると、背後から鈴ちゃんのものと思われるどす黒いオーラを感じた←


「ひーなたちゃん♫」


ごめん、
この状況でそんな風に呼ばれたら、
あたしは鈴ちゃんを振り返る事なんて出来ないぜ←


超怖ぇよ鈴ちゃん。
あの天使の鈴ちゃんは何処へ行ったの。


「…何?鈴ちゃん」


あたしは強張る身体を無理やり捻って
後ろを向いた。


すると、


「此処に入ったら、









絶対に戻ってきちゃだめだよ?」










黒い笑顔のまま鈴ちゃんは言った。


…。


「鈴ちゃん…
あたしは今から死ぬのでしょうか。」


戻ってきたら殺されるのでしょうか←


この部屋の中は、
まさかの戦場なのでしょうか←


武士は敵に背中を向けたらいけないとか何とか言うけれど。
…というか、そもそもあたしって武士?


よく考えてみよう。


ここは島原だよ←


死とは無縁の天国じゃないか←
(散々人を半殺しにしてきた奴が何を言う←)


あたしはう"ーと唸った。


「…せめて刀持ってっても「ダメ」」


戦場に行くのなら、
刀を持ってゆきたいなー、
刀あったら安心だなー、
とか思って聞いてみたが、
即遮られましたね、はい。


あたしが、アハハ…と苦笑いしていると、鈴ちゃんが少し考え込んで言った。


「日向ちゃん、刀はダメだけど、
別の武器ならいいよ!」


純粋な笑顔に戻った鈴ちゃん←


「別のならいいのか!!??
何?何だったらいい!?」


暗闇の中に光が差し込んだ!!←


あたしがその答えをわくわくしながら待っていると、次に言った鈴ちゃんの答えは…。











「お色気!」









女の武器だよ♫と笑顔で言う鈴ちゃん。


「そうか…そうだな…
ここは島原だもんな…」


暗闇の中に差し込んだ光は
すぐに消え去った←

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