新撰組と妖狐ちゃん!
「じゃあ、日向くんも無事に見つかった事ですし、お酒、飲み直しましょうか。」
ニコニコしながらそう言ったのは、
意外にも、さっきからあたしたちの様子を見守っていた、山南さんだった。
「おう!飲み直そうぜ!」
平助がニカっと笑って、
ほら、と、
あたしの手を引っ張り、立たせた。
「…いや、でもあたし…
…新撰組に戻ってもいいのか…?」
皆はお座敷に戻ろうと部屋を出ようと、
平助はあたしを連れて行こうと腕を引っ張るが、
あたしはその場に立ち止まって言った。
「お前らを斬ったんだぞ?
そのくせ、勝手に出て行ったんだぞ?」
こんなにすんなり許してもらったら、
逆に不安で仕方ない。
もっと、キツく否定されたり、
怒られたりする方が気が楽なのに…。
あたしが俯いていると、
一つの足音が近づいてきた。
そして、ポンっと頭に手が置かれた。
そして、頭上から聞こえてきたのは、
「勝手に出て行ったとか、仲間を斬っただとか、今はもう済んだ事だ。
そんな事に責任を感じるより、新撰組隊士としての責任を持て。
あんたは俺たちと一緒にいる事が義務。
ただ何も考えず、その義務を全うしろ。」
斎藤の冷静な声だった。
厳しい言葉の中に、
遠回しに新撰組に居ていいって言われた気がした。
新撰組隊士としての責任、か…
あたしが頭の中で繰り返してると、
今度は、頬を片手でムニっと掴まれ、
クイっと顔を上に向けられた。
…地味に痛い←
顔を上げた目の前にいたのは、
「そうだぜ?そんな暗い顔は似合わねぇよ!皆でパァッと飲んで、笑って、皆で屯所に帰ろうぜ!!」
ニカっと笑った原田だった。
酒の事しかないのか?←
とか思ったが、
原田なりの優しさが分かったんだ。
けれど、
「…痛い。」
あたしがじとっと睨むと、
あ、悪りぃ悪りぃ(笑)と、
原田は慌てて離した←
あんな掴まれたら、
笑うもんにも笑えねぇよ←
と、頬をさすっていると、
「局を脱するべからず。
…そんなにテメェは切腹したいか。」
土方ははぁ…と溜息をついた。
そして、
「そんなに悪いと思ってんなら、
俺らの酌をするだけで勘弁してやるよ。
ありがたく思え←」
超上から目線で
ニヤッと笑ってそう言った。
…。
「…土方以外なら、
喜んでお酌させて頂きます。」
「んだとコルァ!!!」
あたしが、
土方以外に向けて微笑むと、
案の定、土方はきれました←
「いいよ、土方さんはほっといて。
行こう、日向。」
そう言う沖田の言うとおりに、
キレている土方をほっておいて、
あたし達は、部屋を後にしましたとさ←
ちゃんちゃん。
…。
「は、え、ちょ!
テメェらぁあああああああ!!!!」
部屋で一人、
嘆く土方なのであった←