新撰組と妖狐ちゃん!


しばらくして、
沖田の咳がおさまると、


…。


「…え、ちょ、何!」


沖田から
どす黒いオーラが!!!


あたしは思わず、
ヒッと悲鳴を上げた←


背中をさする手を止め、
身の危険を感じたあたしは、
ジリジリと後ろに下がっていると、


パシッ


「…えーと、何でしょう。」


腕を掴まれた←


ブンブン振ってみるが、
離れませんね、はい。


沖田の表情を伺うと、


「…。」


気持ち悪いくらいに、
黒ーく微笑んでおられました←


一言も発さないのが、
さらに恐ろしい←


「お、怒ってます?沖田サン」


あたしが、
顔を引きつらせながら聞くと、


「ん?怒ってないよ?」


さっきと変わらない表情で言う沖田←


いや、怒ってるだろ!!


あたしがさらにジリジリと
後ろに下がっていると、
あたしの腕を掴んでいる沖田も
もれなくジリジリと近づいてくる←


そんなおまけはいらんわ!
とか思いながら、
あたしは、


「お、沖田!
あたしの負けでいいから!
とりあえず離せ!!!」


「やだ。」


だぁーかぁーらぁー!!!
とあたしが暴れていると、


「勝負は…日向の勝ちでいいよ。
さっきの返事、教えたげる。」


さっきの返事ぃ??


意味深な笑みを浮かべて、
沖田は酒を口に含み、


「!?」


あたしをグイッと引き寄せると、


「え、ちょ、」


いつか土方が
薬を飲ませてきたみたいに、


「んー!!!」










…接吻をしてきたんだ。











ヒューと誰かが口笛を鳴らし、
ガシャンッと誰かがお猪口を落とした音がした。


頑張って離れようと、
もがいていると、


「おき…!?」


酒を飲まされてるうううう!!!!


あたしの口の中に勝手に入ってくる
苦い酒。


接吻されてるせいなのか、
酒を飲んだせいなのか、


あたしの頭はクラクラして、
身体の力が抜けていくのが分かった。


「…う…」


遠のく意識の中、


土方が訳のわからん声で
怒鳴っていた声と、












「…日向、好きだよ。」














沖田が耳元でそう囁いたのが
聞こえた気がした。
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