新撰組と妖狐ちゃん!


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屯所への帰り道。


新撰組の集団の最後尾をぶらぶらと歩いていると、


『いつの間に楠木が!?』


『実家に帰省中とかじゃなかったっけか!?』


『…つーか、あれ…
杏子ちゃんじゃね???』


『え!?じゃ、
あいつ、女だったのか!?』


…あたし、実家に帰省中だったのか?←


「…だそうですよ、副長ー。」


平隊士たちのヒソヒソ話…というか、もろ聞こえてるんだけども、←


そんな話を聞きながら、
あたしは斜め前を歩く土方に言った。


すると、土方ははぁ…と溜息をつき、


「ここまで考えてなかった…。」


片手で顔を覆った。


「一人で見つけようと欲張るからですよー、土方さん。」


その隣でケラケラ笑う沖田←


すると、また土方は溜息をついて、


「しゃあねぇ…
後で日向が女だってことは言うか…」


苦い顔をした。


あーでも、隊士の士気が…
とか、ブツブツつぶやいている土方に、
あたしは労いの言葉をかけてやった。


「副長はいろいろ大変そーデスネ。」


「…テメェ、一ミリたりともそんな事思ってねぇだろ。」


ジトッとした目で睨まれた。


「日向が女だって言うってことは…
日向、屯所の中でも着物きれるじゃねーか!」


なんかとてもワクワクした様子の原田。


「…いや別に、あたしは袴で過ごすけど。動きづらいし。」


全く嬉しくも何ともないんだけど。
と、いきなり会話に入ってきた原田を見ると、


「え、でも日向、あの花魁の着物で土方さんに思いっきり蹴りいれてたんだぜ?なら、普通の着物でも余裕だろ←」


うんうん、と原田が頷きながら言った。


「いや、覚えてねーし。」


その話は聞いたけど、
そんなにアクティブに動いてたのか?
あたし。


すると、今度は永倉が出てきて言った。


「凄かったんだぜ!?蹴りをいれたときに着物がペラっとめくれて、足が超エロk「あ"?テメェら、それが目的か。」


あたしは顔を引きつらせながら
永倉と原田を睨んだ。


「いや、だって本当にエロk「いっぺん死ね。」…ギャアアアアア!!」


「え、ちょ!俺もかよ!?」


…。


「ふぅ。」


「おー、飛んでった…」


平助が、苦笑いで原田と永倉が星になった場所を見ていたのは気にしない気にしない←


そんなこんなであっという間…
というかすぐそこなんだけどさ、←
屯所の門の前についた。


入ってもいいのかな、
とか迷う自分がいて、
ふと、門の前で立ち止まっていると、


「おかえり、日向くん。」


「おかえり。」


「おかえりー!」


「遅いよ全くー」


「おかえり。」


「門限やぶりは切腹だ。」


皆が笑顔で迎えてくれた。


その笑顔にあたしは
足を前へと進めることが出来た。


そして、
家に帰ったら言う一言を皆に告げる。









「ただいま。」










…とりあえず、
さっき死刑宣告が聞こえたのは
気のせいという事にしておこう。←


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