ちょーだい。




『........どこ、行くの?』




『飯作りに行く。あ、帰ってくる途中さ、空ゴロゴロ言ってたからもー少しで
雷来ると思うんだけど。』






『........雷............?だから??』





『飯作ってる間に風呂入れば?停電とか、ありそーだよ?』




あ、あぁ。そっか。





雷は苦手。







怖い。









なんか、お母さんみたいで。










雷はずっと騒がしい。





通り過ぎるまで。







あたしがどんなに怖がっても、雷は自分のペースで騒がしい。





あたしの意見なんて、通るはずもなくて。









お母さんみたい。






お母さんも、ただイラついたらあたしに八つ当たり。






あたしがどんなに悲しんでも、自分の気が済むまで発散し続ける。







嫌い。雷は。







『まさか、雷こえーの?』



いつの間にか、奏は目の前にいて。




『....わっ!そんなことないっ!』





ドンっ!!






思いっきり奏の胸を突き飛ばしていた。






『うわー。ぼーりょく反対なんですけどー』




奏はわざとらしく腰を痛めた真似をして言った






『....................ごめん』





なんとなく、謝りたくなくて。



素直じゃない。自分でもわかってるよ







『雷怖いとか、やっぱ子供♪俺が守ってあげよーか?』





『ばっ、ばか!!』




つい、恥ずかしくてパシッと奏の腕を叩いてしまった。







『うーわー。虐待はんたーい。』






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