咆哮するは鋼鉄の火龍
佐竹が殆ど休み無しで戻って来ると、乗組員達が仕事に追われ疲れきっている目で佐竹を出迎えた。
立花を探し回っていると後ろから作業服姿の立花が声をかけた。
佐竹は至急話がしたいと言い、立花と指揮車へと向かった。
佐竹
「黒田部長からこれを」
佐竹はそう言うと肩にかけていた鞄から作戦指示書を取りだし渡した。
立花
「ありがとうございます、どうでした箱根は?」
佐竹
「いや、それが黒田部長進軍方針みたいですよ、詳しくはこれに書いてるって」
立花
「さすが黒田さん、腑抜けた保守派連中とはちがうなー」
佐竹
「少佐は賛成なんですか?」
立花
「本多から話きいてると、このままじゃあ北からの難民や逃亡兵が箱根に溢れるだろうし、いくら箱根が大きいポリスでも入りきらないでしょ?
ゴブリンの問題も片付けないと、物資もいるし、とにかく現状維持してたら終わりってゆうのが僕の考えです」
佐竹
「部長も同じ様な事言ってました」
立花
「これ読むから佐竹さんは次の作戦への準備指示してもらえます?」
佐竹
「幹部決定を待たずにですか?」
立花
「黒田さんが言うんだし戦争で間違いないですよ、あれこれ何?」
そういうと作戦指示書と一緒に入っていた一人の兵士の履歴書を封筒にから取り出した。
「行方不明、捜索断念」のハンコが押してあった。
佐竹
「ちょうど本田って読み方が同じ人間がいたんで階級は一等兵です」
立花
「ああなるほど、本多さんの、こっちの方がやっぱ手っ取りばやいね」
佐竹
「榊原さんにばれたら例え最適化されてても殺されますよ、大分恨んでたみたいだし」
立花
「目附役はどうしよう」
佐竹
「ああ織田っていう新兵みたいです、私が対処しますよ、黒田さんから言われてて」
立花
「じゃあ佐竹さん疲れてる所悪いですけど」
立花は佐竹に次の要所を攻める為の作戦を伝えた。
佐竹
「前からこうなる事わかってたみたいですね」
作戦を聞いた佐竹は感心し敬礼して外にでた。
立花は眠い目を擦りながら作戦指示書に目を通し始めた。
作戦指示が切り替えられる前から防衛施設の整備は簡易的な物で終わっており、既に皆が次の進撃の作業を初めていた事が分かった佐竹は又々感心していた。
変電所から来た列車の二両を、発電施設にあった鋼板と古戦場から運ばれた残骸を組み合わせて張りぼての装甲列車が作られている頃、発電施設の切り替え工事が完了した。
立花
「やったな宇佐美」
宇佐美は照れ臭そうに右手のプラスドライバーを掲げて回した。
佐竹
「偽火龍ももうできますよ、遠くから見たらそっくりです、大したもんだ」
立花
「皆を集めてくれますか?」
佐竹に呼び集められた乗組員達は連日の移動と戦闘、作業でボロボロになっていた。
それでも立花の次の指示を静かに待っている。
何度も失敗した奪還戦をたった一週間程でやってのけた立花を皆は信頼していた。
さらにここにいる者は大体が一線で活躍してきた者達であった為、全員がやれる時に万全を期さねば戦場では生き残れない事を知っていたからでもあった。
立花
「全員良くやってくれた!
明日から先三日の間作業を止め休養に入る、見張りの当番表を作ったので確認してくれ。
コック!今日は遅れたが祝勝会だ旨いものをたらふく頼む!」
歓声が上がり、喜び笑う者、疲れはて座り込む者それぞれを発電所のライトがこうこうと照らした。
乗組員達は浮かれながら張りぼて列車の製作作業に戻って行ったが、佐竹が皆の喜びようを見て休んでいる場合ではないのではと立花を見ると、立花は作戦指示書を開き佐竹に見せた。
そこには「稼ぐ経営者は従業員をギリギリまで働かせてから休日を与える」と書かれた旧時代の雑誌の切り抜きが貼られていた。
佐竹
「黒田部長の政治手腕ってこいうやつからきてるんですかね」
立花
「けどまあ列車は佐竹さんみたいに飛んで来ないし、休み貰えるくらいの仕事はしてますよ。
佐竹さんもゆっくり休んでくださいね」
佐竹は箱根で旅館に家族と泊まった事は皆には黙っておこうと思った。
祝勝会の後で佐竹が見張りに出ていた幹部のスパイである織田の所へ向かった。
佐竹
「よお新米、調子はどうだ」
織田
「異常ありません、が佐竹少佐少し話せますか?」
佐竹
「おう何だ?」
織田
「自分、実は出発前に幹部の人間数人に呼び出されまして」
佐竹
「内通しろって言われたんだろ?」
織田
「御存知だったんですか?」
佐竹
「当然だ、俺は立花少佐の先輩だぞ」
さも知っていたのが当然であるように佐竹は答えて見せた。
織田
「皆を売るような真似なんてしたくはないんですが、幹部が恐くって」
佐竹
「本多の事さえ黙ってくれればいいさ、後は普通に報告したらいい、もしバレたら黒田部長と俺と立花少佐で守ってやるさ」
織田
「了解しました。ずっと悩んでたんです」
佐竹
「俺は頼りになるだろう?
わっはっはっ、引き続き警戒に当たれ」
織田
「はっ」
佐竹が戻ると立花が待っていた。
立花
「どうでした」
佐竹
「幹部は人を見る目がないって事がわかりました。
あいつ自分から話してきましたよ」
立花
「すいません嫌な事押し付けてしまって」
佐竹
「いやー今回は尊敬を勝ち取ったんで役得でした。
最近うまくいきすぎて怖いですよ」
二人は未だに騒いでいる者達の所へ向かった。
その夜、箱根の街に久しぶりに煌々と灯りが灯った。
立花を探し回っていると後ろから作業服姿の立花が声をかけた。
佐竹は至急話がしたいと言い、立花と指揮車へと向かった。
佐竹
「黒田部長からこれを」
佐竹はそう言うと肩にかけていた鞄から作戦指示書を取りだし渡した。
立花
「ありがとうございます、どうでした箱根は?」
佐竹
「いや、それが黒田部長進軍方針みたいですよ、詳しくはこれに書いてるって」
立花
「さすが黒田さん、腑抜けた保守派連中とはちがうなー」
佐竹
「少佐は賛成なんですか?」
立花
「本多から話きいてると、このままじゃあ北からの難民や逃亡兵が箱根に溢れるだろうし、いくら箱根が大きいポリスでも入りきらないでしょ?
ゴブリンの問題も片付けないと、物資もいるし、とにかく現状維持してたら終わりってゆうのが僕の考えです」
佐竹
「部長も同じ様な事言ってました」
立花
「これ読むから佐竹さんは次の作戦への準備指示してもらえます?」
佐竹
「幹部決定を待たずにですか?」
立花
「黒田さんが言うんだし戦争で間違いないですよ、あれこれ何?」
そういうと作戦指示書と一緒に入っていた一人の兵士の履歴書を封筒にから取り出した。
「行方不明、捜索断念」のハンコが押してあった。
佐竹
「ちょうど本田って読み方が同じ人間がいたんで階級は一等兵です」
立花
「ああなるほど、本多さんの、こっちの方がやっぱ手っ取りばやいね」
佐竹
「榊原さんにばれたら例え最適化されてても殺されますよ、大分恨んでたみたいだし」
立花
「目附役はどうしよう」
佐竹
「ああ織田っていう新兵みたいです、私が対処しますよ、黒田さんから言われてて」
立花
「じゃあ佐竹さん疲れてる所悪いですけど」
立花は佐竹に次の要所を攻める為の作戦を伝えた。
佐竹
「前からこうなる事わかってたみたいですね」
作戦を聞いた佐竹は感心し敬礼して外にでた。
立花は眠い目を擦りながら作戦指示書に目を通し始めた。
作戦指示が切り替えられる前から防衛施設の整備は簡易的な物で終わっており、既に皆が次の進撃の作業を初めていた事が分かった佐竹は又々感心していた。
変電所から来た列車の二両を、発電施設にあった鋼板と古戦場から運ばれた残骸を組み合わせて張りぼての装甲列車が作られている頃、発電施設の切り替え工事が完了した。
立花
「やったな宇佐美」
宇佐美は照れ臭そうに右手のプラスドライバーを掲げて回した。
佐竹
「偽火龍ももうできますよ、遠くから見たらそっくりです、大したもんだ」
立花
「皆を集めてくれますか?」
佐竹に呼び集められた乗組員達は連日の移動と戦闘、作業でボロボロになっていた。
それでも立花の次の指示を静かに待っている。
何度も失敗した奪還戦をたった一週間程でやってのけた立花を皆は信頼していた。
さらにここにいる者は大体が一線で活躍してきた者達であった為、全員がやれる時に万全を期さねば戦場では生き残れない事を知っていたからでもあった。
立花
「全員良くやってくれた!
明日から先三日の間作業を止め休養に入る、見張りの当番表を作ったので確認してくれ。
コック!今日は遅れたが祝勝会だ旨いものをたらふく頼む!」
歓声が上がり、喜び笑う者、疲れはて座り込む者それぞれを発電所のライトがこうこうと照らした。
乗組員達は浮かれながら張りぼて列車の製作作業に戻って行ったが、佐竹が皆の喜びようを見て休んでいる場合ではないのではと立花を見ると、立花は作戦指示書を開き佐竹に見せた。
そこには「稼ぐ経営者は従業員をギリギリまで働かせてから休日を与える」と書かれた旧時代の雑誌の切り抜きが貼られていた。
佐竹
「黒田部長の政治手腕ってこいうやつからきてるんですかね」
立花
「けどまあ列車は佐竹さんみたいに飛んで来ないし、休み貰えるくらいの仕事はしてますよ。
佐竹さんもゆっくり休んでくださいね」
佐竹は箱根で旅館に家族と泊まった事は皆には黙っておこうと思った。
祝勝会の後で佐竹が見張りに出ていた幹部のスパイである織田の所へ向かった。
佐竹
「よお新米、調子はどうだ」
織田
「異常ありません、が佐竹少佐少し話せますか?」
佐竹
「おう何だ?」
織田
「自分、実は出発前に幹部の人間数人に呼び出されまして」
佐竹
「内通しろって言われたんだろ?」
織田
「御存知だったんですか?」
佐竹
「当然だ、俺は立花少佐の先輩だぞ」
さも知っていたのが当然であるように佐竹は答えて見せた。
織田
「皆を売るような真似なんてしたくはないんですが、幹部が恐くって」
佐竹
「本多の事さえ黙ってくれればいいさ、後は普通に報告したらいい、もしバレたら黒田部長と俺と立花少佐で守ってやるさ」
織田
「了解しました。ずっと悩んでたんです」
佐竹
「俺は頼りになるだろう?
わっはっはっ、引き続き警戒に当たれ」
織田
「はっ」
佐竹が戻ると立花が待っていた。
立花
「どうでした」
佐竹
「幹部は人を見る目がないって事がわかりました。
あいつ自分から話してきましたよ」
立花
「すいません嫌な事押し付けてしまって」
佐竹
「いやー今回は尊敬を勝ち取ったんで役得でした。
最近うまくいきすぎて怖いですよ」
二人は未だに騒いでいる者達の所へ向かった。
その夜、箱根の街に久しぶりに煌々と灯りが灯った。