咆哮するは鋼鉄の火龍
覇権を握るは不戦の名将
人類再編統括本部、軍事中央鉄道管理部部長であり、大佐の黒田は箱根の温泉街を仕切る胴元の次男坊であった。
幼い頃より才能を見抜いていた父親が温泉街の一角のサウナ街を仕切らせていた。
サウナ街は温泉街の中でも特に風紀が乱れ、犯罪の温床地でもあった。
何故なら数十種類のサウナ、例えば赤外線や石焼、スチーム等々、全ての種類のサウナがそれぞれの店を構え、温泉を使用する許可がなくとも容易に開業出来る為に乱立していたからである。
それらは一つのエリアにまとめられ、温泉に比べ低価格で楽しめるので多くの人間が集った。
狭いポリスにひしめき合って建てられたサウナ街は犯罪者の隠れ家となり、箱根の暗部となっていた。
黒田はそれを全て正そうとはせず、むしろ擁護し自分の勢力下に置いた。
若いと舐めてかかった大人達は知らぬ間に利益を吸い上げられ彼の存在を大きくしていく。
力を付ける事を地回りは心良く思わなかったが、黒田によって自分達の利益が守られている事も知っているので、次第に彼に勢力を飲み込まれていった。
多くの人々の娯楽である温泉街を取り仕切る存在にまでなっていた黒田は民事鉄道管理部に入った。
この時代影響力の大きかった輸送手段を手中に納めようと考えたのだろう。
しかし直ぐに軍事の方が使い方によっては自分に都合が良いと分かり、転属願いを出した。
彼は軍事の力も利用し、民間の鉄道管理部にも網を張った。
物流をコントロールし黒田は益々自力を上げていった。
彼は温泉街等の利潤と己の才覚を最大限利用し、課長までスピード出世、ダイヤの効率化、鉄道資源物質の再利用化、人員の育成等でメキメキ実力を発揮した。
軍事だけでなく民間の管理監督まで表立って行うようになった黒田は軍事幹部を温泉街に優待し顔を広げていった。
そこで北方ポリス、今でこそ名前が分かった東名の軍が侵略してきたのである。
当時は名前も分からない軍の攻撃に混乱し、まともな守備力を持っていなかった発電所は直ぐに奪われてしまった。
そこからの黒田の動きは早かった。
まずは温泉街に出入りしていたトレジャーハンターを非正規に雇い、北方に送って逐一戦況報告をさせた。
発電所付近から撤退していた兵と兵器を救出そして回収し、起伏の激しい古戦場で撹乱作戦を指示し敵を足止めさせた。
次に箱根の監視下にあった各ポリスから守備兵器と物質を回収させどんどん前線に送った。
しかもそれらを一切民事の連絡貨物列車のダイヤを乱す事なくやってのけ、後で知った者達は皆黒田の手腕に舌を巻いたという。
この頃になってやっと幹部会議では交戦が決定し、前線に命令が下り、両軍は今の古戦場で激突した。
3日3晩に及ぶ戦いで戦線は混線し一時膠着状態となる。
状況を打破するべく東名の装甲列車が送られた事を知った軍事幹部の命令で、当時未完成の火龍に出撃の命が下ったが、黒田は榊原と画策し「不具合多し」でこれを拒否。
黒田は箱根軍の偵察兵より早くこの情報を入手していた為一計を案じており、それを代案として進言。
今までの黒田の働きを高く評価していた竹中大将の独断でこれを許諾承認し、これより先の作戦指示を黒田に移行させる為に動き出した。
黒田は榊原と共同で廃車寸前のトラックに装甲を施し線路を走るように改造した車両を製作、同じく装甲を張り前方にミサイルランチャーを付けた爆薬満載の貨物車両を押させ箱根からノンストップで走らせた。
敵のバリケードをランチャーで破り、ドライバーはアクセルを固定し脱出。
線路を走るミサイルと化した即興兵器は見事東名側の敵装甲列車に命中し、炎上させた。
この時に黒田は機動兵器部と連携しており、立花と佐竹もいた部隊が炎上する車両に次々に火炎瓶を投げ被害を拡大させた。
遂には炎は砲弾に引火し装甲列車を大破させた。
頼みの綱があっさり絶たれ、兵糧が乏しくなり焦った東名は軍の再編を行い進撃を開始したが黒田はこれに応戦させず変電所まで軍を撤退させた。
変電所前での軽い交戦後、籠城戦となった。
北から送られた増援は多く、変電所が陥落するのは目前となっていた。
しかし常に先手を打っていた黒田はまたしても既に次なる作戦を実行していた。
全てのポリスから民間人を箱根に召集し、全員に兵士達が雨の日に着るポンチョに似せた物をビニールや紙、布切れ等、様々な物で大量に制作し鉄パイプを銃に見立て変電所までゆっくりと行進させた。
大軍が援軍として来たと思った東名の包囲軍は慌てて退却し、黒田が約束した通り民間人に一切被害は及ばなかった。
更に逃げる敵に向け貨物列車を簡単に改造した蛇級走行列車で追撃し、装甲列車の有用性を知らしめた。
これらにより黒田は前線の兵達から一度も戦場に立たずに敵を撤退させた「不戦の名将」と称えられ、作戦に参加し勝利の味を知った民間人からも絶大な人気を得た。
戦功により部長と大佐に昇格し、一大勢力を掌握した黒田は手が足りなくなり、優秀な手駒を探す事にする。
だが若くして頭角を表した黒田を警戒してか中々他部署からの引き抜きは容易にはいきそうもなかった。
そこで黒田が目を付けた男が「上官喰らい」の異名を持つ現在の補佐を勤める森少尉であった。
幼い頃より才能を見抜いていた父親が温泉街の一角のサウナ街を仕切らせていた。
サウナ街は温泉街の中でも特に風紀が乱れ、犯罪の温床地でもあった。
何故なら数十種類のサウナ、例えば赤外線や石焼、スチーム等々、全ての種類のサウナがそれぞれの店を構え、温泉を使用する許可がなくとも容易に開業出来る為に乱立していたからである。
それらは一つのエリアにまとめられ、温泉に比べ低価格で楽しめるので多くの人間が集った。
狭いポリスにひしめき合って建てられたサウナ街は犯罪者の隠れ家となり、箱根の暗部となっていた。
黒田はそれを全て正そうとはせず、むしろ擁護し自分の勢力下に置いた。
若いと舐めてかかった大人達は知らぬ間に利益を吸い上げられ彼の存在を大きくしていく。
力を付ける事を地回りは心良く思わなかったが、黒田によって自分達の利益が守られている事も知っているので、次第に彼に勢力を飲み込まれていった。
多くの人々の娯楽である温泉街を取り仕切る存在にまでなっていた黒田は民事鉄道管理部に入った。
この時代影響力の大きかった輸送手段を手中に納めようと考えたのだろう。
しかし直ぐに軍事の方が使い方によっては自分に都合が良いと分かり、転属願いを出した。
彼は軍事の力も利用し、民間の鉄道管理部にも網を張った。
物流をコントロールし黒田は益々自力を上げていった。
彼は温泉街等の利潤と己の才覚を最大限利用し、課長までスピード出世、ダイヤの効率化、鉄道資源物質の再利用化、人員の育成等でメキメキ実力を発揮した。
軍事だけでなく民間の管理監督まで表立って行うようになった黒田は軍事幹部を温泉街に優待し顔を広げていった。
そこで北方ポリス、今でこそ名前が分かった東名の軍が侵略してきたのである。
当時は名前も分からない軍の攻撃に混乱し、まともな守備力を持っていなかった発電所は直ぐに奪われてしまった。
そこからの黒田の動きは早かった。
まずは温泉街に出入りしていたトレジャーハンターを非正規に雇い、北方に送って逐一戦況報告をさせた。
発電所付近から撤退していた兵と兵器を救出そして回収し、起伏の激しい古戦場で撹乱作戦を指示し敵を足止めさせた。
次に箱根の監視下にあった各ポリスから守備兵器と物質を回収させどんどん前線に送った。
しかもそれらを一切民事の連絡貨物列車のダイヤを乱す事なくやってのけ、後で知った者達は皆黒田の手腕に舌を巻いたという。
この頃になってやっと幹部会議では交戦が決定し、前線に命令が下り、両軍は今の古戦場で激突した。
3日3晩に及ぶ戦いで戦線は混線し一時膠着状態となる。
状況を打破するべく東名の装甲列車が送られた事を知った軍事幹部の命令で、当時未完成の火龍に出撃の命が下ったが、黒田は榊原と画策し「不具合多し」でこれを拒否。
黒田は箱根軍の偵察兵より早くこの情報を入手していた為一計を案じており、それを代案として進言。
今までの黒田の働きを高く評価していた竹中大将の独断でこれを許諾承認し、これより先の作戦指示を黒田に移行させる為に動き出した。
黒田は榊原と共同で廃車寸前のトラックに装甲を施し線路を走るように改造した車両を製作、同じく装甲を張り前方にミサイルランチャーを付けた爆薬満載の貨物車両を押させ箱根からノンストップで走らせた。
敵のバリケードをランチャーで破り、ドライバーはアクセルを固定し脱出。
線路を走るミサイルと化した即興兵器は見事東名側の敵装甲列車に命中し、炎上させた。
この時に黒田は機動兵器部と連携しており、立花と佐竹もいた部隊が炎上する車両に次々に火炎瓶を投げ被害を拡大させた。
遂には炎は砲弾に引火し装甲列車を大破させた。
頼みの綱があっさり絶たれ、兵糧が乏しくなり焦った東名は軍の再編を行い進撃を開始したが黒田はこれに応戦させず変電所まで軍を撤退させた。
変電所前での軽い交戦後、籠城戦となった。
北から送られた増援は多く、変電所が陥落するのは目前となっていた。
しかし常に先手を打っていた黒田はまたしても既に次なる作戦を実行していた。
全てのポリスから民間人を箱根に召集し、全員に兵士達が雨の日に着るポンチョに似せた物をビニールや紙、布切れ等、様々な物で大量に制作し鉄パイプを銃に見立て変電所までゆっくりと行進させた。
大軍が援軍として来たと思った東名の包囲軍は慌てて退却し、黒田が約束した通り民間人に一切被害は及ばなかった。
更に逃げる敵に向け貨物列車を簡単に改造した蛇級走行列車で追撃し、装甲列車の有用性を知らしめた。
これらにより黒田は前線の兵達から一度も戦場に立たずに敵を撤退させた「不戦の名将」と称えられ、作戦に参加し勝利の味を知った民間人からも絶大な人気を得た。
戦功により部長と大佐に昇格し、一大勢力を掌握した黒田は手が足りなくなり、優秀な手駒を探す事にする。
だが若くして頭角を表した黒田を警戒してか中々他部署からの引き抜きは容易にはいきそうもなかった。
そこで黒田が目を付けた男が「上官喰らい」の異名を持つ現在の補佐を勤める森少尉であった。