咆哮するは鋼鉄の火龍
 最新医療と元来タフな上に最適化手術を受けた本多の傷は完治していた。

 ドクターは「皆こいつみたいだったらいいのに」と驚いていた。

本多
「私の部下は家族の近く箱根において頂けると言われたんで、これからの作為の参考に私だけでやりますよ」

立花
「そうだな、じゃあ本多は三人組の所に入ってくれ」

本多
「いや、一人で結構です、それじゃあリハビリになりませんから」

 本多はそういうと開始位置に向かった。

立花
「じゃあリトル、向こうは四人だし、もう一人誰か選んでくれ」

リトル
「結構です、邪魔ですから」
 
 本多に触発されたリトルは二人を引き連れて去った。
 
 同じ歩兵部出身のコックは肩を落とした。

佐竹
「全員自信家ですね」

立花
「だから模擬戦は必要だと思ったんですよ、シンプルに優劣をつけたら文句言えないでしょ?
 
 戦場じゃあ言い訳は出来ませんしね。
 
 単に興味もありますし、ペイント弾用意しておいて良かったですよ」
 
 本多と三人組を競わせようとして前もって宇佐美に頼み準備をしていたのだ。
 
 立花は建て直した監視塔に上りメガホンを持った。

立花
「各員、先に渡した拳銃及び模造ナイフのみを使用する事。
 
 三勢力での戦闘をおこない一勢力になるまで時間無制限で試合を行う。
 
 十河ー!

 俺は本多に時計をかけるぞ!

 お前はあのナイフをかけろ!」
 
 十河はノミ屋を開いていて急に声をかけられてギクッとしたがOKサインを出した。

十河
「あの悪名高き朱達磨は四人で一番人気、しかも隊長が参加しているぞ!
  
 歩兵部トップの三人組が二番人気だ!
  
 人数では不利だが我等がアイドルのリトルちゃんがヒートアップしているとの情報有り!
  
 大穴狙うなら本多に掛けろ!

 無謀にもたった一人で挑むらしい!
  
 頭は最適化されてないようだぞ!さあさあ!」

赤松
「はったはった!」

立花
「いいか?では試合始め!」

 開始の合図が合っても暫くは全員動かず、崩壊した兵舎の瓦礫にそれぞれが身を隠していた。

 しかし一旦戦闘が始まると次々に観戦者の元にペイント弾を受けた者が戻ってきた。

 残ったのは、リトル、島津、本多のスリートップ、その中で初めに出てきたのはリトルであった。

 リトルは悔しそうに砂を蹴りあげ、ヘラヘラ笑って見ていたノッポとファットの頭にペイント弾を撃ち込んだ。

 ついでに心配して駆け寄った赤松も餌食になった。

 最終的に島津と本多の二人が揃って出てきたが、どちらもペイント弾で打たれた様子は無く、ナイフで勝敗が決せられた事を物語っていた。

立花
「きまったな」

島津
「何もんです彼?」

立花
「行方不明になって敵に捕まって改造された男さ、たった五人でここを滅茶苦茶にしたんだ。納得するか?」

島津
「うちでは強さが正義ですし、納得するしかないですね、うちの部隊は全員彼にやられましたし」

リトル
「うちもです」

本多
「まあ本気出したらこんなもんすよ、うははは」
 
 皆感心し、本多を称えた。

島津
「ちっレッドキャップみたいな動きしやがって、顔も何となく似てるし、しかしうちのリトルレディが腕を上げたのも驚きましたよ」

リトル
「その呼び方を定着させた兄を私は嫌っています」

立花
「名字が一緒だからまさかと思ったけど、確かに似てるな」

リトル
「似てません」

立花
「呼び分けずらいし業務上今まで通りリトルでいいだろう?」

リトル
「どうぞご自由に」
 
リトルは兄に向けてペイント弾を撃ったが、手甲で防がれた。

島津
「まだまだだなリトルレディ?」

立花
「では本多を私の権限で一時的に島津と同じく中尉とする。
 
 以降火龍の歩兵における作戦の指揮を任せる。十河ナイフをよこせ」

十河
「大穴だし儲かったからいいや」
 
 十河は本多の部下から回収した大きめのナイフを立花に渡した。

立花
「餞別だ、受け取ってくれ」

本多
「これは俺の部下の…ありがとうございます少佐、これからはお任せ下さい。
 
 なあ島津さんよ、そのアーマー余りあるか?」

島津
「ええ予備用にありますがサイズがちょっと」

本多
「俺は体でかいからな、改造するからくれ」

島津
「分かりました。持ってきます」

立花
「いいぞ、これで必要な物以上に充実したな、流石は黒田部長だ」

佐竹
「私は全て読まれている様で恐いですよ、それでいつ出ます?」

立花
「作戦を今一度考えるから、明後日だな。

 それまでに歩兵部隊の連携の練習と、各車両に弾薬の振り分け、車両編成、後は新兵器の装着だな」

佐竹
「また忙しくなりますね」

片倉
「さっき伝書鳩っぽいのををコックが料理しようと持っていきましたよ、足に何か付いてましたし」

佐竹
「ずっと忙しいですね。

 あいつは伝書鳩で胃袋に唐辛子でも送る気か?」

 佐竹は走って止めにいった。




< 31 / 70 >

この作品をシェア

pagetop