咆哮するは鋼鉄の火龍
 決起集会からの箱根は非常に忙しかった。

 黒田と言えば民事鉄道管理部長とダイアの打ち合わせや、立花と作戦の構築、その後ろで黒田の補佐をしている森は方々を回り資料作りに走った。

 榊原は兵器管理部以下の各課長を集め乗組員への技術指導と火龍の最終調整。

 工場には常に榊原の怒声と罵声が響く。

 乗組員達は立花の要望で自分達の持ち場以外の事も覚えなくてはならなかった。

 立花と佐竹はシェルター内部に仮設された会議室で侵攻地域の地形を頭に叩き込み、今回作戦に携わる人員の把握に躍起になっていた。

立花
「何これ黒田さんの嫌がらせ?」

佐竹
「1引く2イコールマイナスの計算が出来ないみたいですね?」

立花
「はぁー、機関車長は民事の鉄道管理部勤続46年現在58歳 

 軍事経験無し?遠征中に寿命が来るよ」

佐竹
「主砲長、

 火龍主砲149,1mmカノン通常一分間につき1から2発の平均発射の所、2,5発の発射可能。

 任務放棄で軍罰経験有り、

 素行悪し、
 
 絶対集会にいたあのモヒカンの二人組だ」

立花
「これも凄い、警戒車配属の通称コック 

 中華料理が得意で腐った水を使って50の兵士を倒してる。

 ただし自軍を…

 ふふふ…

 はははっあーはっはっは」

佐竹
「まーまー我々だって一歩間違ってたら彼らより酷い結果になっていたんですしね。

 しかしこれはあまりにも…

 ふふふあははあはは」

立花
「二人して壊れてる場合じゃない。

 佐竹さん黒田さんの所に行きましょ」

佐竹
「おうっ文句言ってやる。」


~軍事鉄道管理部長室~

黒田
「今さら文句言われてもねー?

 ほらっ前に言ったろ?

 不満があるなら今すぐ言ってくれって。

 機関車長? 
 ベテランでしょ?

 主砲長?
 あんに早く撃てる奴そうはいないよ?

 コック?
 いいじゃない中華、
 俺は餃子好きだよ?

 何だよその目は?

 そりゃねっ、いるよ若くて人格も完成されて衛生面にも気をつけんのが。

 でもさー他の部との折り合いもあるしね?
 
 苦労したんだから、そんな中で民事、軍事問わず色んな部から必要な人材かき集めるのわ。

 別に他の部にいじめられてる訳でもないし、勿論君達をいじめる訳でもないよ?

 ただこれが北方だけじゃないのよ、俺が受け持ってるのは、中央鉄道管理部だよー?ちゅ・う・お・う!

 何だよその目は?

 一生懸命やってるんだから俺だって、君は軍人でもあるけど中間管理職なんだから、課長でしょ?

 役職付いてるんだし少しは考えてくれなきゃ。

 ほら、得意の奇策で何とか乗りきってよ。

 大昔にも色んな身分関係無しに集められた兵隊が活躍したらしいよ?

 奇兵隊っつったかな?

 それにさ、自分でもかなり熱く語ってたでしょ?

 勝利に次ぐ勝利を保証するだのなんだの。

 みんなの前で言ったんだから約束は守らんとね、大人なんだし。
 
 若い力で一つ頼むよ。
 
 だから何んだよその目は?

 榊原さん乗るよりましだろ?

 初めは俺が乗るって言って聞かなかったんだから。

 なだめるのに苦労したんだから、本当。
 
 それだけでも感謝してほしーよ。

 それに榊原さんだって色々集めたり修理してあれ作ったんだから。

 重要なのは材料ってだけって訳じゃないでしょ?

 技術、気合い、根気。

 俺だって上から色々圧力かけられてんだしさー。

 下からの問題は出来る限り減らして欲しい訳よ。

 いい指揮するにはゆっくり考える時間がいるわけよ。

 だーかーらー何だよその目は?

 ほら、うちの森君だって文句一つ言わず働いてんだからさー」

 その時外からドアが勢いよく開けられた。


「もうやってられない、

 何度言わせるんですか!

 ちょっとは手伝って下さいよ!」

 森は書類の山を机の上にドサッと置いた。

黒田
「立花、佐竹、下がって良し」

花田
「森さんかわいそー」

佐竹
「ああストレス溜まるわなあれじゃ」
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