咆哮するは鋼鉄の火龍
 先発隊が到着した時には移動要塞では戦後処理が完了していた。

立花
「親方ー」
 
 立花と宇佐美は嬉しそうに移動要塞を見上げる榊原に駆け寄った。

榊原
「でけーなこれ、なんだこいつは?」

立花
「いやーチキンヘッズと主砲のお陰で何とかなりましたよ」

榊原
「おいっあれ付けたのはその主砲の英雄お二人さんか?」
 
 榊原は火龍の主砲の装飾目ざとくを見つけた。

立花
「そうです、かっこいいですよね」

榊原
「呼んでこいや」

立花
「おーい」

 立花がチキンヘッズを呼びに走ったが、二人は危険を察知して逃げた。

榊原
「宇佐美無事か?

 ここまで戦場を見てきたが相当派手にやったみてーじゃねーか。

 慣れねーから大変だろ?」

宇佐美
「こう見えて大活躍ですよ!

 電気も行ったでしょ?」

榊原
「調子こいて死ぬなよ」

宇佐美
「大丈夫ですよ、全部立花さんがビックリ作戦で勝ってくれてますし」

榊原
「ビックリ作戦?まあ来る途中に戦闘の凄惨さに比べりゃ火龍は綺麗なもんだな。

 主砲以外は」

 あくまで自分が作った芸術作品にアレンジを加えられたのが許せないようであった。

宇佐美
「凄いんですよ皆強くって、特に本多さ…」

佐竹
「おっほんおほん、お久しぶりです部長。

 その節は助かりました。

 ありがとうございます」

榊原
「水くせえ、戦争なら戦争って言えや」

佐竹
「てっきり知ってるものかと」

榊原
「ふんっ、ゆってろ、だがまあ良くやった。

 来る途中で見た事ない残骸が転がってたけどありゃあ一体」

立花
「戦闘ヘリコプターですよ、空飛んでました。

 後二人は逃げました」

榊原
「やっぱりか、このでかぶつと言いスゲーの持ってやがるな」

立花
「実はお呼びたてしたのはこれを動かして欲しくって」

宇佐美
「無理だって言ったんですよ?

 こんな平地で設備も無いのに」

榊原
「普通はな、まあ見てみるさ、おいっお前等は火龍の整備しとけ!

 宇佐美案内しろ。
 
 こんなもんいじれるとは整備士冥利に尽きるな」

立花
「我々はレールの取り外し作業を行います」

榊原
「なんだってそんな事を?

 東名を制圧するんだろ?」

立花
「列車爆弾対策ですよ、模倣されたら不味いですし。

 それに今攻めて来られたらひとたまりもないですから」

榊原
「ああー俺と黒田がやった奴か」

立花
「敵も必死で何してくるか分かりませんしね」

榊原
「ちゃんと隊長やってるじゃねーか」

立花
「じゃあそっちはお願いします」

宇佐美
「後でジャズハンマーの調節ハンドルも見て貰っていいですか?

 車内が狭くなるって文句が多くて」

榊原
「あれ火龍に取り付けたんか?」
 
 榊原と宇佐美は久々の再開を楽しみながら要塞に向かった。

 援軍に来た工兵によって副砲と機銃の修理が行われ、コックは送られてきた久々の新鮮な素材に浮かれていた。

 本多の部隊は武器と防弾アーマーの整備していた。

 本多自身は防弾スーツのサイズを無理やり直した為、肩に被弾しドクターに「お前専属の医者じゃあ無い!」と叱られている。
 
 要塞の探索を行っていた片倉と鍋島は途中榊原に会い、驚きのあまり発砲しそうになって殴られた。

 レール取り外し作業を終えた立花の所に要塞を一通り見た榊原がやって来た。

立花
「どうですかアレ動きます?」

榊原
「修理は無理だな、切っちまおう。半分に」

立花
「切るってあれをですか?」

榊原
「動くとこの上だけ残して真っ二つに、そうすりゃ動くだろーな」

宇佐美
「盲点でした、やっぱ親方は天才っす」

立花
「それでもいいですね、じゃあちょっと細工をお願いしたいんですが……っていうのを」

榊原
「成る程なーでも何でそんな事を?

 まあそれ自体は簡単だが切った部分にまた装甲を張るのが大変だな」

宇佐美
「まあ半分残るなら材料は半分ありますし」

榊原
「俺等技術屋の勝負所だな!

 おっしゃ、いっちょやるか手伝え」

 榊原の号令で移動要塞の大改修工事が始まった。


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