咆哮するは鋼鉄の火龍
高架にまで近づいた鷹揚は斎藤の怒声で動きを止めた。
斎藤
「綱を引けーい!」
鷹揚後方に隠れていた兵士は上層まで伸びていた鎖を一斉に引いた。
それによって甲板に敷かれていた二枚の鉄板ががゆっくりと持ち上がり、勢いをつけて東名側に倒れ橋が掛かった。
斎藤
「突撃!突撃!突撃ー!」
斎藤と本多を先頭に先遣隊の援護を受け朱達磨が一気に乗り込んだ。
立花の案で鷹揚の進行方向とは逆の少し傾斜になっている正面側には梯子が付けられていた。
その梯子を下で待機していた兵が掛け上がり、鷹揚と東名にかけられた仕掛け橋を渡り左右ニ方に散っていく。
本多、斎藤は連れてきた朱達磨四十名と共に敵を文字通り皆殺しにしながら一方向に進んでいった。
東名側は家屋等に隠れ応戦していたが、散々上からの砲撃にさらされ復讐に燃える箱根の勢いと朱達磨を率いる二人の鬼武者振りに戦意を消失しつつあった。
中でも本多は羅刹の如く戦った。
元から強い事は確かであったが、防御を防弾アーマーに任せ敵の正面から一団に突撃し、怯んで混乱している敵を血祭りに上げ続けた。
足の遅い斎藤はそれをカバーするだけの火力を持ち、東名側から出てきた防弾アーマーの部隊も自慢の二丁ガトリングの連射で粉々に粉砕していった。
しかし隠れていた敵のバズーカ兵が射撃に酔って戦い続ける斎藤を狙いロケット弾を発射した。
少し前にそれに気づいた本多が敵の死体を盾に斎藤の前に飛び出し、斎藤ごと後方に吹き飛ばされてしまう。
斎藤が激しい耳鳴りと痛みの中起き上がると、本多が既に狙撃した敵の頭を片手で掴み壁にめり込む程強打していた。
最適化の手術により、アドレナリンが出やすくなっていた本多は痛みを感じず狂った様にナイフを抜き再突入して行く。
斎藤
「噂に違わぬ武者ぶりだよ、おいっ奴に続けー!」
斎藤の指示で朱達磨達が本多の後を追った。
本多は建物の屋根から屋根に飛び、次々に施設を制圧していった。
足を引きずり斎藤は必死で本多について行く。
斎藤
「わはは、凄い、凄いじゃないか!
まるで噂のレッドキャップですら奴には叶うまい!」
斎藤達が目指していたのは東名の中で一際目立つ大きな施設である。
そこに東名兵が終結し始めているのを確認し、敵の本丸であると断定した斎藤は即時、制圧命令を出す。
しかし敵の弾幕が激しく容易には近づけずにいたが本多の聞き覚えのある音が鳴り響いた瞬間突撃を敢行した。
東名の指揮官らしき者が民間ヘリで逃げ出そうとしていたのである。
本多
「援護してくれ!」
本多はそう言うと駆け出し、正面ゲート中央の一団に向け朱達磨によるロケット砲の援護射撃が飛び、斎藤の銃弾の嵐が敵を襲った。
本多は拾ったカラシニコフを両脇に抱え突撃し、離脱しそうなヘリまで一気に走り抜け運転手ごと操縦席を破壊した。
副官らしき男が手榴弾のピンを抜き自決しようとしたがナイフで手首と一緒に切り落とし蹴り飛ばしす。
救援に向かってくる東名兵を撃ちながら斎藤が本多の救助に向かい突撃した頃には守備兵は施設を捨て後退していき、斎藤は施設内部の制圧を命じた。
朱達磨
「飛べ、ほらっ飛べよ」
何人かの暴走した部隊が降伏した兵をも地表に落として虐殺し始めた頃、火龍では立花が冷静さを失っていた。
佐竹
「そろそろ高架の下に入ります」
立花
「…止まれ!
全員手動ブレーキを掛けろ!
機関車ブレーキ!機関逆回転」
凄まじい音と共に火龍のスピードが落ち始めた。
汗を流し立花は上部ハッチを開けた。
立花
「副砲目標高架下を撃て」
佐竹
「危ない!降りて下さい」
副砲の射撃とは別の爆発音が複数連続して付近に響いた。
佐竹
「地雷ですか」
立花
「あるかも知れないと思ったけど、指示が遅れた。すいません」
佐竹
「大丈夫ですか?」
立花
「取り乱しました」
佐竹
「まさか民間人を前線に置くなんて考えつきませんよ」
立花
「まずい!島津、さっき下ろした部隊の回収を急げ」
通信(島津)
「了解」
立花
「これ以上は殺すなと伝えろ」
通信(島津)
「了解、上から火炎瓶が降って来てます」
立花
「糞野郎どもが!
民間人を乗せろ!」
佐竹
「乗組員に被害が及ぶ危険があります!」
立花
「どうすればいいんだ!
機関車後退、各員発砲を許可しない、繰り返す発砲は一切許可しない」
佐竹
「私が民間人へ避難勧告を?」
立花
「頼みます」
火龍は悲鳴の木霊する中後退を始め、立花は橋から人が火の海になった東名下層施設に落とされるのを呆然と眺めた。
今までの様な勝利による高揚は無く、深い疲労と重い沈黙が火龍を包んだ。
誰もが援軍に向かう気力を無くし、只々、時折東名から上がる爆炎を見守っている事しか出来なかった。。
斎藤
「綱を引けーい!」
鷹揚後方に隠れていた兵士は上層まで伸びていた鎖を一斉に引いた。
それによって甲板に敷かれていた二枚の鉄板ががゆっくりと持ち上がり、勢いをつけて東名側に倒れ橋が掛かった。
斎藤
「突撃!突撃!突撃ー!」
斎藤と本多を先頭に先遣隊の援護を受け朱達磨が一気に乗り込んだ。
立花の案で鷹揚の進行方向とは逆の少し傾斜になっている正面側には梯子が付けられていた。
その梯子を下で待機していた兵が掛け上がり、鷹揚と東名にかけられた仕掛け橋を渡り左右ニ方に散っていく。
本多、斎藤は連れてきた朱達磨四十名と共に敵を文字通り皆殺しにしながら一方向に進んでいった。
東名側は家屋等に隠れ応戦していたが、散々上からの砲撃にさらされ復讐に燃える箱根の勢いと朱達磨を率いる二人の鬼武者振りに戦意を消失しつつあった。
中でも本多は羅刹の如く戦った。
元から強い事は確かであったが、防御を防弾アーマーに任せ敵の正面から一団に突撃し、怯んで混乱している敵を血祭りに上げ続けた。
足の遅い斎藤はそれをカバーするだけの火力を持ち、東名側から出てきた防弾アーマーの部隊も自慢の二丁ガトリングの連射で粉々に粉砕していった。
しかし隠れていた敵のバズーカ兵が射撃に酔って戦い続ける斎藤を狙いロケット弾を発射した。
少し前にそれに気づいた本多が敵の死体を盾に斎藤の前に飛び出し、斎藤ごと後方に吹き飛ばされてしまう。
斎藤が激しい耳鳴りと痛みの中起き上がると、本多が既に狙撃した敵の頭を片手で掴み壁にめり込む程強打していた。
最適化の手術により、アドレナリンが出やすくなっていた本多は痛みを感じず狂った様にナイフを抜き再突入して行く。
斎藤
「噂に違わぬ武者ぶりだよ、おいっ奴に続けー!」
斎藤の指示で朱達磨達が本多の後を追った。
本多は建物の屋根から屋根に飛び、次々に施設を制圧していった。
足を引きずり斎藤は必死で本多について行く。
斎藤
「わはは、凄い、凄いじゃないか!
まるで噂のレッドキャップですら奴には叶うまい!」
斎藤達が目指していたのは東名の中で一際目立つ大きな施設である。
そこに東名兵が終結し始めているのを確認し、敵の本丸であると断定した斎藤は即時、制圧命令を出す。
しかし敵の弾幕が激しく容易には近づけずにいたが本多の聞き覚えのある音が鳴り響いた瞬間突撃を敢行した。
東名の指揮官らしき者が民間ヘリで逃げ出そうとしていたのである。
本多
「援護してくれ!」
本多はそう言うと駆け出し、正面ゲート中央の一団に向け朱達磨によるロケット砲の援護射撃が飛び、斎藤の銃弾の嵐が敵を襲った。
本多は拾ったカラシニコフを両脇に抱え突撃し、離脱しそうなヘリまで一気に走り抜け運転手ごと操縦席を破壊した。
副官らしき男が手榴弾のピンを抜き自決しようとしたがナイフで手首と一緒に切り落とし蹴り飛ばしす。
救援に向かってくる東名兵を撃ちながら斎藤が本多の救助に向かい突撃した頃には守備兵は施設を捨て後退していき、斎藤は施設内部の制圧を命じた。
朱達磨
「飛べ、ほらっ飛べよ」
何人かの暴走した部隊が降伏した兵をも地表に落として虐殺し始めた頃、火龍では立花が冷静さを失っていた。
佐竹
「そろそろ高架の下に入ります」
立花
「…止まれ!
全員手動ブレーキを掛けろ!
機関車ブレーキ!機関逆回転」
凄まじい音と共に火龍のスピードが落ち始めた。
汗を流し立花は上部ハッチを開けた。
立花
「副砲目標高架下を撃て」
佐竹
「危ない!降りて下さい」
副砲の射撃とは別の爆発音が複数連続して付近に響いた。
佐竹
「地雷ですか」
立花
「あるかも知れないと思ったけど、指示が遅れた。すいません」
佐竹
「大丈夫ですか?」
立花
「取り乱しました」
佐竹
「まさか民間人を前線に置くなんて考えつきませんよ」
立花
「まずい!島津、さっき下ろした部隊の回収を急げ」
通信(島津)
「了解」
立花
「これ以上は殺すなと伝えろ」
通信(島津)
「了解、上から火炎瓶が降って来てます」
立花
「糞野郎どもが!
民間人を乗せろ!」
佐竹
「乗組員に被害が及ぶ危険があります!」
立花
「どうすればいいんだ!
機関車後退、各員発砲を許可しない、繰り返す発砲は一切許可しない」
佐竹
「私が民間人へ避難勧告を?」
立花
「頼みます」
火龍は悲鳴の木霊する中後退を始め、立花は橋から人が火の海になった東名下層施設に落とされるのを呆然と眺めた。
今までの様な勝利による高揚は無く、深い疲労と重い沈黙が火龍を包んだ。
誰もが援軍に向かう気力を無くし、只々、時折東名から上がる爆炎を見守っている事しか出来なかった。。