咆哮するは鋼鉄の火龍

共に戦うは不屈の正規軍

口売屋
「さーさー聞いてくれ!

 箱根の街は喜びに沸いている。

 電気は戻り、街が明るくなっただけじゃー無い。

 長年の仇敵を遂に打ち破り、脅威は去った。

 不戦の名将に続き、若き英雄が生まれた!

 彼の名は立花!

 称えよう、栄光の凱旋を!
 
 称えよう火龍を!龍騎兵を!

 揚げたて歴戦の巨砲コロッケ30円、

 信頼を裏切らない装甲ハムカツ40円!

 凱旋記念セールは今だけだ!」

 東名陥落から暫くたっても尚、箱根は戦勝気分に浮かれていた。

 作戦の詳細が口売屋に広がり、益々火龍とその一行の人気が上がっていった。

 そんな活気溢れる商店街通りに子連れの佐竹の姿があった。
 
女の子
「なんでお父さんはあんまり呼ばれんの?
 
 立花ちゃんばっかりやね」

佐竹
「父ちゃんだって活躍したよ?

 それに昔は父ちゃん立花の上官だったんだから」

佐竹の娘
「過去に固執する男って最低」

佐竹
「おいっ!母さんが言ってたのか?」

佐竹の娘
「黒田のおじさんがくれた雑誌に書いてた」

佐竹
「あまりそんな俗物ばっかり読んでると黒田さんみたいに腹が黒くなるぞ」

片倉
「おっ佐竹中佐!」

佐竹
「よお片倉!非番か?」

佐竹の娘
「こんちわ」

片倉
「こんにちはお嬢ちゃん、今から出頭です。

 そうだ昇進おめでとうございます」

佐竹
「ありがとう、まあ全員一階級昇進だけどね」

片倉
「でも中佐なんて凄いですよ、中々なれないですよ」

佐竹
「まあ黒田さんの力でなんだけどな、不治の病はどうだ?」

片倉
「やっと固い椅子から離れられて、温泉浸かったからバッチリっす」

佐竹
「まあ治った所悪いけど、多分そろそろ出撃だぞ」

片倉
「げっまじですか?

 北で何かあったんですか?」

佐竹
「いや、二ヶ月も休んだんだ、そろそろ動くだろうな」

片倉
「せっかく治ったのに…今度はクッション持ってこ」

佐竹
「懸命だな」

佐竹の娘
「お父さんコロッケ」

片倉
「ごめんねー、じゃあ私はこれで」

佐竹
「ああ、お勤めご苦労さん」

佐竹の娘
「また遠くにいくん?」

佐竹
「寂しいか?お父さんも寂しいよ」

佐竹の娘
「はよコロッケ」

佐竹
「活躍しなければ、父の威厳が…

 しかし立花大丈夫かな?」
 
 最近顔を会わせなくなった立花を佐竹は心配していた。


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