咆哮するは鋼鉄の火龍
 火龍を捉えた護国軍は装甲列車進行方向の線路に向かい包囲網を展開したが、火龍が速度を上げた為に追い付けない後続部隊のせいで完璧な包囲陣を敷く事は出来なかった。

 火龍の主砲による遠距離射撃が護国軍を撃ち、続いて副砲が護国軍を襲い全速力で敵陣を掻き分ける。

 怯みながらも反撃をした敵の砲火は火龍に予想以上の打撃を与えたが、火龍の機銃が攻撃を開始した為やむ終えず退却していった。

佐竹
「なんて数だ!

 ふぅーやばかったな、凄い音がしたぞ、装備が違うなあれは」

鍋島
「敵のロケット弾で電源車に亀裂が入ったそうです」

立花
「折角直ったばかりなのに、宇佐美に確認してもらえ、おお本多」

 警戒車から戻ってきた本多が神妙な面持ちで立っていた。

本多
「あいつらの進行方向なんですが」

立花
「間違いないだろうな、俺なら東名を先に襲うがな」

本多
「いや、今から行く要塞は生産システムが充実してますので、恐らくそれを奪おうとしていると」

立花
「じゃあ、飢えてるんだな、まあこの時代に飢えてない奴の方が珍しいか」

佐竹
「生き残りがいる可能性の方が高まりましたね」

立花
「しかしあれだけの兵力を防げる力が残っていたらいいが」

本多
「すいません、私のせいで」

立花
「本多のせいじゃないさ、どちらにせよ避けては通れない道だし、東京へ行くには今の戦力のままじゃ心元無いですし」

本多
「そう言って貰えれば助かります」

佐竹
「着いたはいいが、そいつらも我々を襲って来たらどうします?」

本多
「いや、私が直接行きますよ、いつか部下を説得した時の様に」

立花
「そうして貰うしかないな、誤解されても困るし、東京での戦闘不参加は幹部の独断であったと正直に話そう」

本多
「じゃあ、エアロバイクが無事か見てきます。あれで行けば遠目でも私とわかるでしょうし」

立花
「では頼む。

 おいっ片倉、敵の襲撃位置から要塞までの距離を計測頼む」

片倉
「了解です。

 もうやってますけどね」

通信(ノッポ)
「前方にゴブリン多数」

立花
「何?またか!

 速力で乗り切る、弾を節約するから発砲するなよ」

佐竹
「厄介な土地ですね、敵だらけだ」

立花
「覚悟はしていたけど、頭が痛いよ」

片倉
「指揮官が弱音を吐いちゃ不味いんじゃないですか?」

立花
「くっそれもそうだけど」

片倉
「あっすいません。

 ちょっと言ってみたかっただけなんでお気になさらず」

佐竹
「じゃあ黙ってろ」

 ゴブリンを巻き込みながら火龍は更に北へと進んだ。
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