咆哮するは鋼鉄の火龍
 御嶽は歓迎ムードから一変し防衛体制を整える為に全ての者が動き出した。

 食料が豊富な御嶽に火龍の乗組員は驚き、特にコックとファットは浮かれていた。

 その食料を生産している地下シェルターからは次々に武器が運び出されていた。
 

ノッポ
「箱根が他に比べてかなり進んでいる方だと思っていたけど、ここも凄いな」

ファット
「食いもんが多いし、奪われる訳にはいかんな」

リトル
「黙って手を動かせ」

 三人は立花の指示で地雷をせっせと作っていた。
 
 その頃御嶽の外では民間人と朱達磨が作業を行っていた。

島津
「くっ重い、良くそれだけ持てますね?」

 島津と本多達は仮設レールを運んでいた。

本多
「最適化の手術でも受けるか?

 苦しさのあまり死ぬかもしれんがな」

島津
「痛いんですか?」

本多
「耐えられたのは俺と伊達中将と他五人だけだ。
 
 手術を受けたのは百を越えたけどな」

島津
「遠慮しておきます」

本多
「俺も二度とごめんだよ」
 
 御嶽の前には多くの人間が仮設レールを半円状の壁に平行して設置する作業を行っていた。

佐竹
「今回は敵の兵器が確実上回っていますね。
 
 危うくないですか?」

立花
「ええ、だがやるしかないでしょうね」

佐竹
「しかし凄い男達ですね?

 全員傷だらけだ」

立花
「我々の想像を絶する戦いをしてきたんでしょうね。
 
 それに報いる為には我々は命を張るしかないです。
 
 東京戦に手を貸していればこうなる事は無かったかもしれませんし」

佐竹
「そうですね。ところで南に連絡は?」

立花
「もう飛脚を飛ばしました」

佐竹
「間に合えば良いですけど、間に合っても来てくれると思いますか?」

立花
「援軍がなければ私の作戦が全て上手く行ったとしても間違いなく全滅するでしょうね」

 佐竹と立花は城壁からはるか南を見つめていた。

佐竹
「気に入ったから東名から動かないって言ってましたけどね、あの達磨は」

立花
「来ますよ、大軍との戦闘により死地と化している為、最早救援不要って送りましたし」

佐竹
「はははっつじゃあ来ますね!」

 立花の読み通り案の定斎藤の号令で東名では進軍準備が無理矢理敢行されていた。
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