咆哮するは鋼鉄の火龍
 立花は捕らえたゴブリンに実験を繰り返していた。

 それは御嵩の最深部で行われ、ゴブリンの悲鳴が部屋から漏れていた。

佐竹
「ちょっと心が痛みますね、元は人間ですもんね?」

立花
「世代が変わってるから性格には人じゃなでしょ。
 
 俺達がやらなきゃいけないんだ」

佐竹
「しかし普通の人間よりもしぶといですね」

 ゴブリンは銃弾を浴びながらも檻の外の佐竹に向け吠えていた。

立花
「本多、お前に弱点は?」

本多
「ゴブリンと一緒にしないでくださいよ。
 
 でも私には無いです。

 頭を撃ち抜かれるか、バラバラにされない限りは戦えますし。
 
 多少の毒にも強いですし風邪も引かないですね。
 
 まあ腹は普通の人間より減りますが、はは」

立花
「腹が?」

本多
「違うんですよ?
 
 決して食いしん坊って訳じゃ、強化されてるからエネルギーの消費量が大きいんですよ」

立花
「確かめたい事がある、ドクターに連絡を」

 数日たった頃にドクターが立花の所へやって来た。

ドクター
「間違いないわ、お前さんの言った通りになったぞ」

立花
「すいません、変な事頼んでしまって」

ドクター
「いや、興味深い。
 
 人とは結構構成が違っててな、今度本多も解剖してええか?」

佐竹
「どうぞどうぞ」
 
 立花の横にいた本多は嫌そうな顔をした。

ドクター
「佐竹、お前の頭もな、あっ見るとこ無いか?うはは」

本多
「がははは」
 
立花
「何とかなるかも知れませんね」

ドクター
「佐竹の頭の事か?」

立花
「そっちは無理です」

佐竹
「一応先輩だぞ!」

立花
「ゴブリンに噛まれた場合の感染症に対するワクチンは出来そうですか?」

ドクター
「数本だけだがな」

立花
「まあ仕方ないか、佐竹、伊達中将に連絡を」

佐竹
「宇佐美曰くビックリ作戦ですか?」

立花
「上手くいけばの話ですけどね」

佐竹
「そういえば宇佐美が最近寂しがってましたよ?
 
 前までは見舞いに来てくれていたのにって」

 宇佐美は被弾して地下シェルターに運ばれドクターの治療で命を繋ぎ止められていた。
 
 徐々に回復し、今ではベットの上で機械をいじっているまでになっていた。

ドクター
「あの時のお前さんは必死だったな?

 時間があれば見舞いに来とったし」

立花
「初めて火龍からの死亡者が出そうだったもんで」

本多
「私が被弾した時は…」

立花
「忙しいなーあー忙しい」
 
 立花は誤魔化しながら伊達に会いに向かった。
 
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