咆哮するは鋼鉄の火龍
 東京は以前の様な建造物はなく、一ヶ所に固まって高層ビルの残骸だけが並んでいた。

 移動要塞がそれを取り囲み、一ヶ所は出入り口として開けられていた。

 そこから入り人気が無い東京を改造された大型トラックが走っていた。

 トラックが止まると、車体に貼り付けられた爆竹が破裂し、薄暗い静かな東京の高層ビル群に共鳴した。
 
 暫くすると至るところからぞろぞろとゴブリンが沸きだしトラックを囲み始めた。

斎藤
「おいっまだか?」

本多
「もうちょい」

 ゴブリンがトラックを揺らし始めた。

斎藤
「もういいだろ?もういい!

 今だ!点火しろ!」

 トラックの四隅が火花を上げ、荷台の板が外へと倒れた。

 中には斎藤、本多率いる朱達磨が乗っていた。

斎藤
「うおおおー撃ちまくれ!」

 斎藤の号令で一斉に射撃が始まった。

本多
「出せ出せ!」
 
 トラックはバックしながら元来た道を猛スピードで引き返して行った。
 
 それを追ってゴブリンが走ってくる。

本多
「なんて数だ、やべーぞ!」

  どんどんと増えるゴブリンはトラックの前方にも回り込んだ。

島津
「突っ込め!」

斎藤
「最高じゃーうはうはうは」

  最後尾に立つ斎藤は乱射していた。

斎藤
「道を開けろ醜い猿めがー」
 
 東京を抜けたトラックは全速力で広野を走った。
 
 それに続きわらわらとゴブリンが東京の入り口から溢れ出した。
 
 入り口前方から離れた場所に立花達同盟軍が陣を敷いていた。
 
 その横陣の前方中央に立花と佐竹が4輪大型バギーに立ち斎藤達を確認した。

佐竹
「釣れましたね?」

立花
「やはりこちらの数が多くて警戒していたな」

佐竹
「斎藤中将よりは警戒心がありそうですね」
 
 トラックが立花達の前に逃げて来た。

斎藤
「きよるぞ!きよるぞ!

 面白くなってきおったわ!」

本多
「やばい数ですよ」

立花
「片倉!計測準備。

 鍋島!信号旗用意」
 
 その間にも次々に東京のゲートから連合軍に向かってゴブリンが迫ろうとしていた。

片倉
「間もなく主砲級の射程に入ります!」

立花
「全主砲発射!」

 鍋島の旗の合図で同盟軍最後尾の主砲部隊の指令官が更に旗を上げた。

十河
「いくぞ!赤松」

赤松
「ほいさっ」

 火龍の主砲を含む大砲群の一斉射撃が立花達の頭上を飛び越し大地を震わせた。

 吹き飛んでいくゴブリン達の後ろからは怒り狂った後続が煙の中から走り向かってきていた。

立花
「いいぞ、かかって来い!」
 
 大砲の射撃をかわきりに、東京解放大戦が幕をきった。
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