咆哮するは鋼鉄の火龍
 怒涛の遠距離射撃が止み、一度は怯んだゴブリン達が再度反撃せんと突撃を開始してきた。

立花
「良し、戻って来たぞ!

 機動兵器隊出撃準備!」

佐竹
「久々にやったりますか!」

立花
「伊達中将!後方の指揮を頼みます」

伊達
「気をつけられよ」
 
 立花と佐竹はゴーグルをかけ、バンダナで口を覆った。

 再度向かって来るゴブリン達に対抗する為、立花の合図であらゆる車両が砂ぼこりを舞い上げ戦場を疾駆した。

 全車両は刃物やスパイク等様々な近接兵器を施し突撃を開始した。

 機動力を武器に大群を翻弄し、後方より戦車が機銃を乱射しつつ突撃し並みいるゴブリンを踏み潰していった。

 先頭を走る立花と佐竹を乗せた四輪バギーは前方の左右に円盤状のノコギリを二枚ずつ付いていた。

 ノコギリの刃が回転しながら敵を切り裂き、血飛沫と肉片がバギーに降りかかった。

 佐竹はチェーンソーで登ってくるものを切り刻んだ。

 バギーは次第に右に旋回していき、それに続き後続の車両も旋回し、車両がはけた場所へ最高のタイミングで火龍の主砲が飛んだ。

 何度か突入と離脱を繰り返しながら敵の前線を車両部隊に引き付けた所で立花達は脱出し、再度主砲と副砲の砲撃が開始された。

立花
「仕上げだ!」

 佐竹が照明段弾を打ち上げると全軍が前進を開始した。

 散々にやられたゴブリン達は流石にたまらず東京に逃げ込もうとしたが、そこには御嶽で活躍を見せたエンドロールと名付けられたブルドーザーに乗った斎藤と、トラックで突っ込み車から降りた本多と朱達磨が待ち受けていた。

斎藤
「一匹も逃すなよ!人間様の恐ろしさを体で教えてやれ!」

本多
「おしっ!

 島津、行くぞ!」 

島津
「全軍に朱達磨の力を示せ!」

 本多はナイフを引き抜き朱達磨達の前に仁王立ちし、逃亡してくるゴブリンを迎え撃った。

 必死に逃げ込もうとするゴブリンを本多等がことごとく倒し、斎藤は一人東京内部にまで逃げたゴブリンを追い突っ込んでいった。

 連合軍が次第に東京へとゴブリンを追い詰めていく。

 東京内部から出てきた斎藤は入り口付近でせっせと走り回っていた。

 ゴブリンの悲鳴が遂には聞こえなくなり、最後に立っていたのは同盟軍であった。

 東京内部に逃げていく少数のゴブリンを見届けると彼らは勝利の声を上げた。

 以前に撤退を余儀なくされた御嵩、佐渡、宇都宮は特に大声を出しゴーグルを外した立花達箱根軍を称えた。

 
伊達
「何とかやりましたが、再度来られると不味いですね。
 
 もう弾が無い」

立花
「ですがあれだけやれば十分こちらの脅威は分かったでしょう。

 今度来ても残存兵力で立ち向かえますよ。

 鍋島。

 鷹揚を前進させろ」

 鷹揚が旗信号を確認して前進し、それに合わせて連合軍が引き上げを開始した。

 巨大な移動要塞が爆破され東京のゲートが蓋がされた時、全軍が一斉に勝ちどきを上げた。

 伊達
「ここからは持久戦ですね」

立花
「ええ、我々はここに残り戦います。
 
 連合の皆さんの代表を五十名ずつ借りても宜しいですか?」

伊達
「分かりました私は一旦引き上げます。

 御嶽が心配なんで、護国軍の残党がいるか心配なんで」

立花
「必ず吉報をお届けします。
 
 ところでお願いがあるんですが?」

伊達
「何なりとどうぞ」

立花
「東名が食料不足でして」

伊達
「帰ったら必ず直ぐに送らせます」

立花
「こちらからは技術者を送りますよ、ゲートを完璧に直さないと」

伊達
「助かります。

 では御武運を」
 
 お互いに握手を交わし、大方の軍が引き上げを開始し、残った兵力は仕上げとなる作戦を開始した。
< 68 / 70 >

この作品をシェア

pagetop