咆哮するは鋼鉄の火龍
古戦場を遠目で確認出来る所にまで火龍は無事に進んでいた。
佐竹
「そろそろ作戦区域に入ります」
立花
「全乗組員に通信、警戒体制をとれ」
佐竹
「はっ」
立花
「はあー」
佐竹
「どうされました?」
立花
「いや、出発の時に黒田部長がね、軍幹部のめつけ役が乗ってるって
しかも誰か解らないし、下手に失敗出来ないから、プレッシャーで」
片倉
「僕じゃ無いですよ、そっちの通信手が怪しいです」
背の高い口をヘの字にした通信手は鼻で笑い片倉を無視した。
片倉
「ね?怪しいでしょ」
佐竹
「鍋島伍長はお前より口は固そうだから信頼できるけど?」
片倉
「無口な通信手って矛盾してないですか?」
佐竹
「お前にマイクは握らせられんよ、通信手は必要以上に喋ったら迷惑だからな」
立花
「始めようか、片倉!しっかり計れよ、
各員戦闘体制、機関車、全速力」
鍋島
「各員、戦闘体制、機関車、全速力」
片倉
「声はいいんだよなー声は」
火龍はどんどんスピードを上げ古戦場に突入した。
墓標と呼ばれる所以の瓦礫と簡易的な墓がそこら中にあった。
ここはかつての激戦地、多くの兵士達が今も砂に埋もれ発見される事無く眠っている。
線路の脇は起伏に富み、いかにも隠れ易そうな車両の残骸が散乱している。
その先にそれらによって作られた小さな渓谷の様になっていた場所があった。
報告では盗賊団が機銃を備え付けているとの事であった。
立花
「あそこだ、鍋島!
六両目、レール搭載車両に伝達用意、片倉時間を計れ」
前方から機銃の雨が先頭の警戒車両にぶつかり耳に響く不快な音は次第に全体へと広まっていった。
佐竹
「どんぴしゃ、待ち伏せだ!
怯むなよ!そうそうこの装甲は破られん」
その時強い衝撃が火龍に走った。
緊急通信
「こちら警戒車両、敵の攻撃を受け左舷機銃破損。軽傷者のみ」
佐竹
「やっぱやばいか?」
盗賊達は小さな谷に橋を渡し、そこから火龍を迎え撃った。
さらに狭い谷にはセンサーが仕掛けられ、そこを通過すると地雷が破裂したが、線路脇に設置していた為火龍には直接的な被害は及ばなかった。
盗賊団
「何だよあれは!
聞いたことねーぞ!」
北部の兵士にとって未知の兵器の火龍は脅威であった。
しかし三方からの射撃に火龍は予想以上の被弾をした。
佐竹
「ちょっと不味いか、敵もやるな」
各車両から被害報告が指揮車へ伝達されるが、どれも致命的な物では無かった。
立花
「今は破損ぐらいで緊急回線を使うな!
タイミングが狂う」
片倉の手の合図で鍋倉がマイクに向かって笛を吹いていた。
六両目では敵の銃弾を避けながら笛の合図で扉が開閉し、そこから次々に大きなボンベが落とされていった。
敵には目もくれず転がっていくボンベのみを狙って最後尾の火砲車の重機関銃が撃たれた続けた。
着弾したボンベは次々に火を吹き、いりくんだ谷間を隙間なく焼き尽くしていった。
待ち伏せしていた敵の伏兵は炎に巻かれていく。
緊急通信
「こちら最後尾!
スピードを上げて下さい、火が迫ってくる!」
立花
「落ち着け!
いいから黙ってボンベを撃て!」
火龍が平地に抜けると、その後を炎が追って来る程の威力であった。
佐竹
「危ない所でしたね、炎に巻き込まれる所でしたよ、やっぱ高濃度液体ガスは火力が違うなー」
立花
「あれ背負って走ってたんだから、ヒヤヒヤもんでしたよ、鍋倉被害報告を」
鍋倉
「目立った損傷は先程の警戒車のみとの事です」
佐竹
「逃げの姿勢が効を奏しましたね」
緊急通信
「後方より敵が来ます!」
立花
「数は?」
緊急通信
「敵は三機、二台は二輪バイク、もう一台はバイクのようですが浮いてます」
立花
「報告書にあったエアロバイクだ。
機銃は十分引き付けて打て!
副砲敵の進行方向前方を狙え、
鍋島、緊急通信を開きぱなしにしておけ、片倉現在の火龍の状況は?」
片倉
「現在本車両進行速度45km、南方の風約1、2m、勾配無し。
路線、三キロ先まで進行方向かって東に5度の角度」
立花
「各自の判断で撃て、主砲は打つなよ、副砲は同時に一台づつ狙って潰せ後方右側から狙え!
エアロバイクは機銃で潰す!
恐らくレッドキャップだ!
しっかり賞金を稼げ!」
電源車と火砲車の副砲が火を吹きだし、追撃してきたバイクの前方に火柱を上げた。
一台目は火柱に突っ込み撃破され二台目は砲火によって出来たクレーターに足をとられ横転した。
エアロバイクは副砲では捉えきれず機銃も交わし続けた。
通信
「機銃でも当たりません!」
佐竹
「泣き言いうな!近づかせるなよ」
立花
「佐竹!プランを変えるぞ!」
立花は素早く主砲車両上部に移り、後方を目視で確認していた。
エアロバイクは空高く上がり搭乗していた男が列車に乗り移ろうとしていた。
通信
「乗り移られます!」
しかし既に立花の指示で六両目の乗組員が前方に移動させられ、五両から以下は連結が切り離されていた。
それに気付いた男は強い風の中、前方の車両に移ろうとしていた。
六両目に一人残った佐竹は手動ブレーキをかけ、急ぎ最後尾へと走った。
佐竹
「避難完了!って聞こえんか」
敵の男が離されていく前方の車両に向かって飛び移ろうとし甲板走り出す。
立花
「狙え、即射!」
四両目の主砲車両から五両目の副砲台に移動していた立花は敵が踏み切るであろう箇所に副砲を打ち込んだ。
砲弾は男の前方に着弾し男は地面に投げ出され転がっていった。
緊急通信(立花)
「立花だ、機関車停止、各員武装し車両から降りて私に続け」
火龍は緊急提出し、這いつくばった男を火龍の乗組員が囲み武器を向けた。
立花
「お前が指揮官だな?」
血だらけの男は立花を睨み付けた。
立花
「最適化手術を受けているな」
血まみれの男
「ああ、そうだ。
まさか自分の車両を撃つとはな、なにもんだ?お前?」
立花
「最適化手術か、道理でしぶとい訳だ。
俺はこの部隊の指揮官、立花だ。
所属と名前を」
血まみれの男
「今は東名の只の飼い犬だ。
名は本多」
立花
「東名ねー、それが北方ポリスの名前か、
正直、残骸だけじゃ敵の名前か解らず意見が割れててね、それで元は」
本多
「新設自衛軍、陸戦騎兵隊」
佐竹
「おいっ自衛軍って言ったら」
立花
「崩壊前に戦ってた正規の奴らの後継軍か、しかしなぜ辞めたんだ?
物質も装備も充実してるだろう?」
本多
「壊滅したんだよ、南は何も知らねーのか?
全部話してやる。
だから少しでいいから休ませろ」
そういうと男は気を失った。
立花
「ドクター」
立花に呼ばれたのは衛生兵に選ばれた民間出身の医者で通称ドクターと呼ばれていた。
ドクター
「横っ腹に風穴、背中に重度の火傷、左肩も脱臼してるわ。
しかしこれでよー生きとるわ 強化人間てなすげーもんだな」
佐竹
「あれで生きてるとは化物だな、けど流石に死んだかな?」
男が再度目を開き全員後ずさりした。
ドクター
「目開けて寝とる」
片倉「怖えー」
こうして箱根軍を長く苦しめていた墓標の盗賊団は火龍の奇兵隊によって壊滅させられた。
佐竹
「そろそろ作戦区域に入ります」
立花
「全乗組員に通信、警戒体制をとれ」
佐竹
「はっ」
立花
「はあー」
佐竹
「どうされました?」
立花
「いや、出発の時に黒田部長がね、軍幹部のめつけ役が乗ってるって
しかも誰か解らないし、下手に失敗出来ないから、プレッシャーで」
片倉
「僕じゃ無いですよ、そっちの通信手が怪しいです」
背の高い口をヘの字にした通信手は鼻で笑い片倉を無視した。
片倉
「ね?怪しいでしょ」
佐竹
「鍋島伍長はお前より口は固そうだから信頼できるけど?」
片倉
「無口な通信手って矛盾してないですか?」
佐竹
「お前にマイクは握らせられんよ、通信手は必要以上に喋ったら迷惑だからな」
立花
「始めようか、片倉!しっかり計れよ、
各員戦闘体制、機関車、全速力」
鍋島
「各員、戦闘体制、機関車、全速力」
片倉
「声はいいんだよなー声は」
火龍はどんどんスピードを上げ古戦場に突入した。
墓標と呼ばれる所以の瓦礫と簡易的な墓がそこら中にあった。
ここはかつての激戦地、多くの兵士達が今も砂に埋もれ発見される事無く眠っている。
線路の脇は起伏に富み、いかにも隠れ易そうな車両の残骸が散乱している。
その先にそれらによって作られた小さな渓谷の様になっていた場所があった。
報告では盗賊団が機銃を備え付けているとの事であった。
立花
「あそこだ、鍋島!
六両目、レール搭載車両に伝達用意、片倉時間を計れ」
前方から機銃の雨が先頭の警戒車両にぶつかり耳に響く不快な音は次第に全体へと広まっていった。
佐竹
「どんぴしゃ、待ち伏せだ!
怯むなよ!そうそうこの装甲は破られん」
その時強い衝撃が火龍に走った。
緊急通信
「こちら警戒車両、敵の攻撃を受け左舷機銃破損。軽傷者のみ」
佐竹
「やっぱやばいか?」
盗賊達は小さな谷に橋を渡し、そこから火龍を迎え撃った。
さらに狭い谷にはセンサーが仕掛けられ、そこを通過すると地雷が破裂したが、線路脇に設置していた為火龍には直接的な被害は及ばなかった。
盗賊団
「何だよあれは!
聞いたことねーぞ!」
北部の兵士にとって未知の兵器の火龍は脅威であった。
しかし三方からの射撃に火龍は予想以上の被弾をした。
佐竹
「ちょっと不味いか、敵もやるな」
各車両から被害報告が指揮車へ伝達されるが、どれも致命的な物では無かった。
立花
「今は破損ぐらいで緊急回線を使うな!
タイミングが狂う」
片倉の手の合図で鍋倉がマイクに向かって笛を吹いていた。
六両目では敵の銃弾を避けながら笛の合図で扉が開閉し、そこから次々に大きなボンベが落とされていった。
敵には目もくれず転がっていくボンベのみを狙って最後尾の火砲車の重機関銃が撃たれた続けた。
着弾したボンベは次々に火を吹き、いりくんだ谷間を隙間なく焼き尽くしていった。
待ち伏せしていた敵の伏兵は炎に巻かれていく。
緊急通信
「こちら最後尾!
スピードを上げて下さい、火が迫ってくる!」
立花
「落ち着け!
いいから黙ってボンベを撃て!」
火龍が平地に抜けると、その後を炎が追って来る程の威力であった。
佐竹
「危ない所でしたね、炎に巻き込まれる所でしたよ、やっぱ高濃度液体ガスは火力が違うなー」
立花
「あれ背負って走ってたんだから、ヒヤヒヤもんでしたよ、鍋倉被害報告を」
鍋倉
「目立った損傷は先程の警戒車のみとの事です」
佐竹
「逃げの姿勢が効を奏しましたね」
緊急通信
「後方より敵が来ます!」
立花
「数は?」
緊急通信
「敵は三機、二台は二輪バイク、もう一台はバイクのようですが浮いてます」
立花
「報告書にあったエアロバイクだ。
機銃は十分引き付けて打て!
副砲敵の進行方向前方を狙え、
鍋島、緊急通信を開きぱなしにしておけ、片倉現在の火龍の状況は?」
片倉
「現在本車両進行速度45km、南方の風約1、2m、勾配無し。
路線、三キロ先まで進行方向かって東に5度の角度」
立花
「各自の判断で撃て、主砲は打つなよ、副砲は同時に一台づつ狙って潰せ後方右側から狙え!
エアロバイクは機銃で潰す!
恐らくレッドキャップだ!
しっかり賞金を稼げ!」
電源車と火砲車の副砲が火を吹きだし、追撃してきたバイクの前方に火柱を上げた。
一台目は火柱に突っ込み撃破され二台目は砲火によって出来たクレーターに足をとられ横転した。
エアロバイクは副砲では捉えきれず機銃も交わし続けた。
通信
「機銃でも当たりません!」
佐竹
「泣き言いうな!近づかせるなよ」
立花
「佐竹!プランを変えるぞ!」
立花は素早く主砲車両上部に移り、後方を目視で確認していた。
エアロバイクは空高く上がり搭乗していた男が列車に乗り移ろうとしていた。
通信
「乗り移られます!」
しかし既に立花の指示で六両目の乗組員が前方に移動させられ、五両から以下は連結が切り離されていた。
それに気付いた男は強い風の中、前方の車両に移ろうとしていた。
六両目に一人残った佐竹は手動ブレーキをかけ、急ぎ最後尾へと走った。
佐竹
「避難完了!って聞こえんか」
敵の男が離されていく前方の車両に向かって飛び移ろうとし甲板走り出す。
立花
「狙え、即射!」
四両目の主砲車両から五両目の副砲台に移動していた立花は敵が踏み切るであろう箇所に副砲を打ち込んだ。
砲弾は男の前方に着弾し男は地面に投げ出され転がっていった。
緊急通信(立花)
「立花だ、機関車停止、各員武装し車両から降りて私に続け」
火龍は緊急提出し、這いつくばった男を火龍の乗組員が囲み武器を向けた。
立花
「お前が指揮官だな?」
血だらけの男は立花を睨み付けた。
立花
「最適化手術を受けているな」
血まみれの男
「ああ、そうだ。
まさか自分の車両を撃つとはな、なにもんだ?お前?」
立花
「最適化手術か、道理でしぶとい訳だ。
俺はこの部隊の指揮官、立花だ。
所属と名前を」
血まみれの男
「今は東名の只の飼い犬だ。
名は本多」
立花
「東名ねー、それが北方ポリスの名前か、
正直、残骸だけじゃ敵の名前か解らず意見が割れててね、それで元は」
本多
「新設自衛軍、陸戦騎兵隊」
佐竹
「おいっ自衛軍って言ったら」
立花
「崩壊前に戦ってた正規の奴らの後継軍か、しかしなぜ辞めたんだ?
物質も装備も充実してるだろう?」
本多
「壊滅したんだよ、南は何も知らねーのか?
全部話してやる。
だから少しでいいから休ませろ」
そういうと男は気を失った。
立花
「ドクター」
立花に呼ばれたのは衛生兵に選ばれた民間出身の医者で通称ドクターと呼ばれていた。
ドクター
「横っ腹に風穴、背中に重度の火傷、左肩も脱臼してるわ。
しかしこれでよー生きとるわ 強化人間てなすげーもんだな」
佐竹
「あれで生きてるとは化物だな、けど流石に死んだかな?」
男が再度目を開き全員後ずさりした。
ドクター
「目開けて寝とる」
片倉「怖えー」
こうして箱根軍を長く苦しめていた墓標の盗賊団は火龍の奇兵隊によって壊滅させられた。