狡猾な王子様
そのあと、お風呂に入った私は、湯上がりの体をバスタオルで拭って体重計に乗った。


「……とりあえず、一ヶ月で3キロの減量を目標にしよう」


ポツリと呟いて脱衣所にある洗面台の前に立つと、鏡には見るに耐えない程に贅肉に包まれてポヨポヨとしている上半身が映った。


「今度は絶対に投げ出さない!」


顔はともかく、私だって痩せて綺麗になりたいと思っている。


おしゃれな服やメイクに憧れていることも、太っているというだけでいつもどこか後ろめたいような気持ちがあって、素直に言い出せなかった。


瑠花さんのように可愛くなるのは難しくても、ダイエットが成功すれば少しくらいは自信が持てるのだろうか。


そしたら、英二さんとも……。


それが夢のまた夢だということくらい、ちゃんとわかっている。


だけど……。


ダイエットの糧にするくらいなら罰は当たらないはずだと苦笑を零し、自分自身を変えるためにもとにかく今度こそ本気で頑張ろうと誓った──。

< 124 / 419 >

この作品をシェア

pagetop