狡猾な王子様
あどけなさを感じさせる笑顔なのに、綺麗な指先が唇を拭う姿はどこか男らしい。
甘やかな英二さんの“男性的な雰囲気”を感じる瞬間は、いつも妙に体温が上昇する。
柔らかい物越しで話すのに、その声はれっきとしたテノールで。
指は水仕事をしているとは思えない程に綺麗なのに、その手は私よりもずっと大きくて。
穏やかに微笑むのに、唇から覗く舌は扇情的で……。
……って、なに考えてるのよ!
変な方向に思考が動いている自分自身を叱責し、ストローを通してアイスティーを体に吸収する。
それから視線をチラリと上げると、その先にいる英二さんは相変わらず美味しそうにトマトを食べていた。
彼の手の中にあるというだけで、見慣れているトマトが高級な物にすら見えてしまう。
どうしてそんな風に感じるのか考えていると、不意に英二さんと目が合い、彼がフワリと微笑んだ。
トクンと鳴る、胸の奥。
そんな風になる“本当の理由”を、私はまだ知らない──。
甘やかな英二さんの“男性的な雰囲気”を感じる瞬間は、いつも妙に体温が上昇する。
柔らかい物越しで話すのに、その声はれっきとしたテノールで。
指は水仕事をしているとは思えない程に綺麗なのに、その手は私よりもずっと大きくて。
穏やかに微笑むのに、唇から覗く舌は扇情的で……。
……って、なに考えてるのよ!
変な方向に思考が動いている自分自身を叱責し、ストローを通してアイスティーを体に吸収する。
それから視線をチラリと上げると、その先にいる英二さんは相変わらず美味しそうにトマトを食べていた。
彼の手の中にあるというだけで、見慣れているトマトが高級な物にすら見えてしまう。
どうしてそんな風に感じるのか考えていると、不意に英二さんと目が合い、彼がフワリと微笑んだ。
トクンと鳴る、胸の奥。
そんな風になる“本当の理由”を、私はまだ知らない──。