狡猾な王子様
メールを受信したのは、英二さんのスマホだったみたい。
彼はスマホのディスプレイに視線を走らせながら、いつものように微笑んでいたけど……。
月明かりに照らされたその表情は、どこか寂しげな雰囲気を纏っているような気がした。
なんとなくだけど、メールの相手は佐武さんだと思う。
「佐武さんから、ですか……?」
「あぁ、うん」
考えるよりも先に訊いてしまったあとでハッとしたけど、英二さんは一瞬だけ気まずそうに笑いながらもなにげなく頷いた。
「あの、今日は本当にすみませんでした……」
「ううん。俺の方こそ、変なところばかり見せちゃってごめんね」
微苦笑を浮かべた英二さんに、首を小さく横に振った。
昼間のことはともかく、さっきのことは完全に私に落ち度があるのだから彼が謝る必要なんてない。
「じゃあ、気をつけてね」
「はい。おやすみなさい」
ぎこちない雰囲気のまま笑顔の英二さんに見送られ、街頭がほとんどない道を走り出した──。
彼はスマホのディスプレイに視線を走らせながら、いつものように微笑んでいたけど……。
月明かりに照らされたその表情は、どこか寂しげな雰囲気を纏っているような気がした。
なんとなくだけど、メールの相手は佐武さんだと思う。
「佐武さんから、ですか……?」
「あぁ、うん」
考えるよりも先に訊いてしまったあとでハッとしたけど、英二さんは一瞬だけ気まずそうに笑いながらもなにげなく頷いた。
「あの、今日は本当にすみませんでした……」
「ううん。俺の方こそ、変なところばかり見せちゃってごめんね」
微苦笑を浮かべた英二さんに、首を小さく横に振った。
昼間のことはともかく、さっきのことは完全に私に落ち度があるのだから彼が謝る必要なんてない。
「じゃあ、気をつけてね」
「はい。おやすみなさい」
ぎこちない雰囲気のまま笑顔の英二さんに見送られ、街頭がほとんどない道を走り出した──。