狡猾な王子様
「いいんですよ、おばさん。私、本当に太ってるし」


「なに言ってるの、ふうちゃん!そんなことないからね!女の子相手にあんなこと言うなんて、女の敵だよねぇ!」


「ごめんよ、ふうちゃん」


「本当に気にしないでください。それに、私はもう女の子って歳でもないですから」


しょんぼりと眉を下げるおじさんに言って、おばさんに笑顔を向ける。


「ふうちゃんはまだまだ若いから、充分女の子だよ!それなのに、この人ったらデリカシーなんかありゃしないんだよ!まったく……」


「おばさん、おじさんを怒らないであげてください。私、本当に気にしてませんから」


「もう!ふうちゃんは優し過ぎるんだから!」


「本当にごめんよ、ふうちゃん」


おじさんに首を横に振りながら微笑みを向け、次の配達日の確認をした。


それから少しだけ他愛のない話をしたあと、まだ話し足りなさそうなおじさんたちに申し訳なさを感じながらも店をあとにし、次の配達先へと急いだ。

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