狡猾な王子様
こんな私が英二さんと並ぶと、“月とスッポン”。


もしくは、“逆・美女と野獣”状態。


綺麗な顔立ちの英二さんは、“美人”って言葉がピッタリ。


男性に遣うのはおかしいのかもしれないけど、不思議なことに彼にはその言葉がとてもよく似合う。


そんな英二さんのお店には、もちろん彼を目当てにやって来る女性客もたくさんいて……。


ある時、帰り際に英二さんの連絡先を尋ねていた女性は、まるでモデルのようにスタイルがよくて、サラサラのロングヘアーを靡かせるような立ち居振る舞いで微笑んでいた。


顔立ちだって彼と並べるだけの美しさがあって、自信が満ち溢れたオーラを放つ本人もそれを自覚しているのだろう。


「天は二物を与えず、なんて嘘よね」


ミディアムボブの髪はくせっ毛で、顔は精一杯高く評価してもたぶん“中の中”くらい。


体型同様、私の外見は残念なのだ。


両親や家族のことは大好きだし、太っている母方の親族の遺伝のせいにするつもりも、卑屈になるつもりもない。


だけど……。

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