狡猾な王子様
ニュースでようやく梅雨入りが宣言されたばかりの、七月上旬のある日。
朝起きると、今にも雨が降り出してしまいそうな程に空がどんよりとしていた。
それなのに……。
私の心はまるでお陽様が昇っているかのようにポカポカしていて、今週は朝食当番じゃないのに五時過ぎには目が覚めていた。
「おはよー!」
「あら、おはよう」
「あれ?ふうちゃん、早いね」
朝食の支度をしていたお母さんと弥生ちゃんが、少しだけ不思議そうにしながらも笑った。
「うん。なんだか早くに目が覚めちゃって」
「あら、そうなの?まぁ、ふうは昔から早起きだものね」
木漏れ日亭に配達に行く日は、どうしてもソワソワして早くに目が覚めてしまう。
「うん」
もちろんそんなことは誰にも言えないから、お母さんには平静を装って頷いた。
だけど……。
瞳を緩めてフフッと笑った弥生ちゃんには心の中を見透かされているような気がして、なんだか居た堪れなくなって顔を逸らしてしまった。
朝起きると、今にも雨が降り出してしまいそうな程に空がどんよりとしていた。
それなのに……。
私の心はまるでお陽様が昇っているかのようにポカポカしていて、今週は朝食当番じゃないのに五時過ぎには目が覚めていた。
「おはよー!」
「あら、おはよう」
「あれ?ふうちゃん、早いね」
朝食の支度をしていたお母さんと弥生ちゃんが、少しだけ不思議そうにしながらも笑った。
「うん。なんだか早くに目が覚めちゃって」
「あら、そうなの?まぁ、ふうは昔から早起きだものね」
木漏れ日亭に配達に行く日は、どうしてもソワソワして早くに目が覚めてしまう。
「うん」
もちろんそんなことは誰にも言えないから、お母さんには平静を装って頷いた。
だけど……。
瞳を緩めてフフッと笑った弥生ちゃんには心の中を見透かされているような気がして、なんだか居た堪れなくなって顔を逸らしてしまった。