狡猾な王子様
朝食の支度が整った頃、いつものように眠そうにしながら最後に居間に来た秋ちゃんに、お母さんは呆れたように口を開いた。
「秋ったら、どうしてこんなに寝起きが悪いのかしら」
「……仕方ないだろ」
「奥さんになる人は苦労するわね」
「余計なお世話だよ。大体、朝飯の時間までには降りて来てるだろ」
「週に何度かは、ふうに起こして貰ってるじゃない。こんなに手が掛かるんじゃ、よっぽど寛大な奥さんじゃないとすぐに愛想尽かされるわよ」
すると、さっきのやり取りを思い出したらしい千佳子ちゃんと弥生ちゃんがクスクスと笑い出し、私もそれに釣られるように小さく吹き出してしまった。
「……おい、なんで笑ってるんだよ?」
不思議そうにしていた秋ちゃんだけど、私たちが何食わぬ顔で朝食を食べ始めると、腑に落ちないような表情をしながらもお箸を手にした。
春ちゃんとなっちゃんも、なにかを察するように笑っている。
山野家は、今日もとても賑やかだ──。
「秋ったら、どうしてこんなに寝起きが悪いのかしら」
「……仕方ないだろ」
「奥さんになる人は苦労するわね」
「余計なお世話だよ。大体、朝飯の時間までには降りて来てるだろ」
「週に何度かは、ふうに起こして貰ってるじゃない。こんなに手が掛かるんじゃ、よっぽど寛大な奥さんじゃないとすぐに愛想尽かされるわよ」
すると、さっきのやり取りを思い出したらしい千佳子ちゃんと弥生ちゃんがクスクスと笑い出し、私もそれに釣られるように小さく吹き出してしまった。
「……おい、なんで笑ってるんだよ?」
不思議そうにしていた秋ちゃんだけど、私たちが何食わぬ顔で朝食を食べ始めると、腑に落ちないような表情をしながらもお箸を手にした。
春ちゃんとなっちゃんも、なにかを察するように笑っている。
山野家は、今日もとても賑やかだ──。