狡猾な王子様
「……悪い」
英二さんらしくない、どこか気怠さを孕んだ口調。
ふたりの姿を見た瞬間から、ただならぬ関係だというのは直感していた。
と言うよりも、そう感じずにはいられなかった。
だけど……。
「また連絡して。……今度はお店が休みの時に、ね?」
その女性は今日はお客さんとして来ていたわけではないのかもしれないと感じる言葉に、あっという間に鼻の奥がツンと痛んだ。
同時に、彼女がモデルのように綺麗だと思ったあの女性だと気付いて、唇をギュッと噛み締めた。
やっぱり住む世界があまりにも違い過ぎて、この場にいる自分に恨めしさを抱きそうになる。
今日に限って早く来てしまうなんて、本当にツイていない。
「じゃあ、また」
「あぁ、気をつけて」
「連絡、待ってるから」
その女性は落ち着いた口調でそう言うと、なにも言えずにただ俯くようにしている私を気にする素振りもなく、ピンヒールを鳴らしながら颯爽と立ち去った。
英二さんらしくない、どこか気怠さを孕んだ口調。
ふたりの姿を見た瞬間から、ただならぬ関係だというのは直感していた。
と言うよりも、そう感じずにはいられなかった。
だけど……。
「また連絡して。……今度はお店が休みの時に、ね?」
その女性は今日はお客さんとして来ていたわけではないのかもしれないと感じる言葉に、あっという間に鼻の奥がツンと痛んだ。
同時に、彼女がモデルのように綺麗だと思ったあの女性だと気付いて、唇をギュッと噛み締めた。
やっぱり住む世界があまりにも違い過ぎて、この場にいる自分に恨めしさを抱きそうになる。
今日に限って早く来てしまうなんて、本当にツイていない。
「じゃあ、また」
「あぁ、気をつけて」
「連絡、待ってるから」
その女性は落ち着いた口調でそう言うと、なにも言えずにただ俯くようにしている私を気にする素振りもなく、ピンヒールを鳴らしながら颯爽と立ち去った。