狡猾な王子様
そのままあれよあれよという間に話が進み、本人たちの意見なんて聞いてもらえないまま『朝早いなら明日の朝に行くのは大変でしょ?泊まらせてもらったら?』という南ちゃんの一言で、私の今夜の予定が決まってしまった。
その時、英二さんがどんな顔をしていたのか覚えていない。
不安と緊張で固まっていた私は、南ちゃんが背中を押してくれているのだとわかってはいたけど、ただただ今夜のことで頭の中がいっぱいだったから。
ひとつ言えるのは、こういう時の大家族の団結力というのは、とてつもなく厄介だということ。
反対意見がひとつも出ない中、あの人数でニコニコされると、とてもじゃないけど無理だなんて言えなかった。
「ほら、疲れただろうし入っておいで」
戸惑いながらも頷いた私は、英二さんの案内でバスルームに足を踏み入れることになった。
ここに入ったのはもちろん初めてで、緊張しすぎて「なんでも好きに使ってね」という言葉にちゃんと返事ができなかったような気がする。
こんな状況の中で、絶対にリラックスなんてできないと思っていたけど……。
念入りに髪と体を洗って湯船に浸かると、ようやくほんの少しだけ肩の力を抜くことができた。
その時、英二さんがどんな顔をしていたのか覚えていない。
不安と緊張で固まっていた私は、南ちゃんが背中を押してくれているのだとわかってはいたけど、ただただ今夜のことで頭の中がいっぱいだったから。
ひとつ言えるのは、こういう時の大家族の団結力というのは、とてつもなく厄介だということ。
反対意見がひとつも出ない中、あの人数でニコニコされると、とてもじゃないけど無理だなんて言えなかった。
「ほら、疲れただろうし入っておいで」
戸惑いながらも頷いた私は、英二さんの案内でバスルームに足を踏み入れることになった。
ここに入ったのはもちろん初めてで、緊張しすぎて「なんでも好きに使ってね」という言葉にちゃんと返事ができなかったような気がする。
こんな状況の中で、絶対にリラックスなんてできないと思っていたけど……。
念入りに髪と体を洗って湯船に浸かると、ようやくほんの少しだけ肩の力を抜くことができた。