狡猾な王子様
翌朝、目が覚めると、最初に視界に入って来たのは、優しく微笑む英二さんだった。


恥ずかしくてくすぐったいのに、なんだか愛おしい。


そんな風に思える朝を迎えたのは生まれて初めてのことで、心が幸せに包まれた。


「おはよう」


「おはようございます」


「体は平気?」なんて訊かれて、頬がカァッと熱くなる。


「つらかったら今日はゆっくりしてていいからね」


気遣うように髪を撫でられて自然と笑みが零れたけど、彼と視線を合わせて首を横に振った。


「大丈夫です。今日はお手伝いのために来たんですから」


照れ臭さを抱いたまま見つめ合うと、額にチュッとキスが落とされた。


「うん。でも、無理はしないで」


「大丈夫ですよ。それより、そろそろ起きなきゃいけませんよね?」


時計を気にした私が起き上がろうとすると、英二さんにギュッと抱き締められた。


「まだ大丈夫だから、もうちょっとだけこうしてて」


甘い声で囁かれると、あっという間に誘惑されてしまう。


チラリと顔を上げると優しい瞳と目が合ってどちらともなく笑みを零したあと、この幸せがずっと続くことを祈りながら、カーテンの隙間から射し込む光の中でそっとキスを交わした――。




*****

〈彼の誠意と私の覚悟〉
END.






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