狡猾な王子様
「こんにちはー、山野(やまの)農園でーす!」
ドアの上に取り付けられた小さな鐘がカランカランと鳴り、カウンターを隔てた調理場にいた柔らかい雰囲気を纏う男性が顔を上げると、彼は優しさを滲ませた笑みをフワリと浮かべた。
「こんにちは、冬実(ふゆみ)ちゃん」
柔らかい笑顔の持ち主は、この和食レストラン【木漏れ日亭(こもれびてい)】のオーナーの木藤英二(きとうえいじ)さん。
店内はあまり広くはないけど、営業日はいつも忙しそうだ。
英二さんの甘やかな顔立ちと好意的な雰囲気で、女性客はもともと多かったけど……。
少し前に、“オススメの隠れ家レストラン”として雑誌に取り上げられてからは、男性同士や恋人同士での来店も格段に増えたみたい。
実際、一度だけ食べさせて貰った英二さんの料理はとても美味しかったから、きっかけさえあれば人気が出るのは当然のことだったと思う。
お陰で、木漏れ日亭への仕入れを請け負っている我が家への注文も増えて、最近は配達物が多くなった。
ドアの上に取り付けられた小さな鐘がカランカランと鳴り、カウンターを隔てた調理場にいた柔らかい雰囲気を纏う男性が顔を上げると、彼は優しさを滲ませた笑みをフワリと浮かべた。
「こんにちは、冬実(ふゆみ)ちゃん」
柔らかい笑顔の持ち主は、この和食レストラン【木漏れ日亭(こもれびてい)】のオーナーの木藤英二(きとうえいじ)さん。
店内はあまり広くはないけど、営業日はいつも忙しそうだ。
英二さんの甘やかな顔立ちと好意的な雰囲気で、女性客はもともと多かったけど……。
少し前に、“オススメの隠れ家レストラン”として雑誌に取り上げられてからは、男性同士や恋人同士での来店も格段に増えたみたい。
実際、一度だけ食べさせて貰った英二さんの料理はとても美味しかったから、きっかけさえあれば人気が出るのは当然のことだったと思う。
お陰で、木漏れ日亭への仕入れを請け負っている我が家への注文も増えて、最近は配達物が多くなった。