狡猾な王子様
「私のこと、暇な女だと思ってる?」
「えっ?いえ……」
佐武さんの名前を知ってから数日後に会った時、木漏れ日亭の駐車場で会った彼女にそう訊かれて慌てて首を横に振った。
佐武さんがどうして私にそんなことを尋ねたのかはわからなかったけど、そんな風に思ったことは一度もない。
いつも高級そうな服かスーツを着こなしている彼女には、隙なんてまったくないように思えて……。
むしろ、キャリアウーマンのようなかっこいい女性、という印象を持っていたくらいだから。
「一応、ちゃんと仕事はしてるのよ?わりと融通が効く職業だから、最近は英二に呼び出されると断らないようにしてるの」
「そうなんですか……」
相槌を打つことしかできなかった私に、佐武さんは綺麗な唇で弧を描いた。
「でもね、彼ったらそれをいいことに頻繁に私に連絡して来るものだから、仕事が滞っちゃって……」
困ったように笑いながらも、その口調はちっとも嫌そうじゃない。
「えっ?いえ……」
佐武さんの名前を知ってから数日後に会った時、木漏れ日亭の駐車場で会った彼女にそう訊かれて慌てて首を横に振った。
佐武さんがどうして私にそんなことを尋ねたのかはわからなかったけど、そんな風に思ったことは一度もない。
いつも高級そうな服かスーツを着こなしている彼女には、隙なんてまったくないように思えて……。
むしろ、キャリアウーマンのようなかっこいい女性、という印象を持っていたくらいだから。
「一応、ちゃんと仕事はしてるのよ?わりと融通が効く職業だから、最近は英二に呼び出されると断らないようにしてるの」
「そうなんですか……」
相槌を打つことしかできなかった私に、佐武さんは綺麗な唇で弧を描いた。
「でもね、彼ったらそれをいいことに頻繁に私に連絡して来るものだから、仕事が滞っちゃって……」
困ったように笑いながらも、その口調はちっとも嫌そうじゃない。