わたし、巫女ですから
声を掛けたんだから、もう腹をくくらなければーーと、分かってはいても舌が上手く回らない。
「……?わたしに何か用事?」
「用事っていうか、その……」
ーーええい!もうヤケだ!
「き、昨日の狐!僕が飼ってる狐なんだ!パン、すごく嬉しかったから、こ、これ!お礼に……!」
一息に言って、不格好な花束を差し出す。ちらりと女の子の様子をうかがうと、とても驚いた顔をした後、ふわりと笑った。
「ありがとう!花束なんて、もらったの初めてよ」
初めてだと言われると、こんな不格好なもので良いのかと申し訳なくなってしまう。
「ご、ごめんね。しおれかけてて……」
「ううん!とっても素敵な花束よ!わたし、お花大好きなの」
「そ、そっか。良かった!」