わたし、巫女ですから
「ふふ、あ、ねぇ?昨日の狐、あなたが飼ってるのよね?」
「え……う、うん。そうだよ」
「それじゃあ、伝言、お願いできる?」
「うん。何を伝えるの?」
僕が昨日の狐だとは言えないーーから、素知らぬ顔で、伝言に耳を傾ける。
「あのね、昨日の狐の姿も可愛くて素敵だけどーーこうしてお話出来る、今の姿も好きよって」
「え……へっ?!」
驚きすぎて、変な声が出る。とっさに、フードに手を伸ばして更に深く被った。
「あ、違う違う。尻尾よ。尻尾が見えてるの」
さすがに背中に隠すだけでは無理があったかと、今更後悔しても、今更だ。
「あ、あの……これは、その……」
ーーどうしよう、どうしよう……!!
こんなに簡単に見破られてしまうなんて……!!