わたし、巫女ですから
ふわりと笑う姿を見て、心臓がどきりと跳ねた。
ーーかわいい、なぁ……。
「?……わたしの顔に、何か付いてる?」
「へっ?!ううん!なんでもない!」
見とれてました、とは言えない。絶対。
「そう?ーーそれにしても、沢山あるのね、尻尾」
「僕、九尾だから」
「きゅうび?それが名前?」
「え、ううん!違うよ。名前は、椿だよ」
「椿?お花の名前ね、素敵!」
「えへへ、ありがと。君の名前は?」
「ひかりよ、七瀬ひかり」
「ひかりちゃんだね」
「うん。でも、呼び捨てでいいよ」
「じゃあ、えと、ひかりは学校帰りなの?」
背中のランドセルを指差しながら訊いてみる。
「うん。そうだよーーあ、いけない!暗くなる前に帰らなきゃ!」
紫色に変わりつつある空を見て、慌てたようにランドセルを背負い直す。