わたし、巫女ですから
「バカかお前は!なんでわざわざ自分から人間の所なんか行ってんだよ!」
「で、でも!ひかりはいい子だよ!」
「名前を知っていると言うことは、話したのか?中途半端な変化で?」
「だっ、だって!狐の姿じゃ話しても通じないから……」
「妖怪だって、バレてねぇんだよな?」
「……バレちゃった」
言った途端、三人が息をのんだのが分かった。藤が、何も言わずにただただ睨んでくる。こういう時こそ、なにか言って欲しいと思う……。
重い空気に堪えかねたのか、牡丹がゆっくりと口を開く。
「何も、されなかったのか?」
「うん。何もしないって言ってくれて、僕が食べたりしないなら、仲良くできるねって……」
「嘘に決まってんだろ、そんなの。お前が油断した途端捕まえて、きっと、毛皮を剥がれるぞ」
「そ、そんなことしないよ!優しそうな子だったもん!それに、また会おうって、言ってくれてーー」
「また会うつもりなのか!?」
しまった、と思っても、口から出た言葉は戻ってはくれない。……僕に隠し事は向いてない。
「……明日、また大通りの所で会うつもりだけど」
「行かせねぇぞ」
「そ、そんな!」
「当たり前だろ!相手は人間で、しかもお前が妖怪だって分かってんだぞ?明日はこの空き地から一歩も出さねぇからな」
反論もさせて貰えず、僕に監視がつくことが決まってしまった。