わたし、巫女ですから
「……仕方ないな」
「あ、会いに行って、いいの?」
「だが、私も付き添う。それに、そのひかりと言う子供が敵意を見せたら、容赦なく喉元を喰いちぎるぞ」
「く、喰いちぎるなんて……!」
「敵意を見せたら、と言った。優しいいい子だという自信があるから、会いに行くのだろう?なら、構わないはずだ」
「……分かった。行こう」
ひかりは何もヒドいことなんてしないはずだ。そう信じて、楓と二人で大通りに向かった。
大通りのそばまで来て、人の姿に化ける。まだ長い時間化けていられないからだ。
僕はまだ耳と尻尾が隠せないから、フードを被って尻尾は一つにまとめて背中に隠している。
楓は、首もとに鱗が少し残るのと、舌が二俣に分かれた蛇の舌のままだったけど、ストールを首に巻いて口を閉じておけば、普通の子供と変わらない。
二人とも変化して路地裏から大通りに顔を覗かせると、ひかりが小石を蹴って遊んでいるのが見えた。
「ひかり!」
「あ、椿!」
僕の姿を見つけると、にこにこと路地裏に駆け込んできた。