わたし、巫女ですから
「今日は会えないのかと思ったわ」
少し拗ねたように言われてしまう。
「ごめんね。ちょっとゴタゴタしてて……」
言いながら、つい楓の方を見ると、ひかりも楓の方を見た。
「初めまして。ひかりよ。ーーあなたも、その、あれなの?」
言葉を濁して言うひかりに対して、楓が一歩前にでた。首に巻いたストールをほどいて、鱗を晒した。
「私は大蛇だ。椿はあんたに惚れているようだが、生憎、私を含め椿の仲間の妖怪は、あんたを、もとい人間を快く思っていない。あんたが敵意を示すなら、容赦なく喉元を喰いちぎらせてもらう」
ーーな、なななーー
「なにをズバズバと言ってるのさ!?」
ーーし、しかも、さり気なくさらっと僕がひかりを好きだって言っちゃったし!