わたし、巫女ですから
「息抜きぃ?神主不在の神社をどうしろって言うのよ!そもそも、ぜーんぶほっぽりだして旅行に行っちゃうような煩悩だらけの神主もどうかと思うけど!」
「鬼の形相で家計簿と電卓片手に神主の勉強してる巫女もどうかと思うよ……」
まぁ、構図が異様なのは自覚しているけども……。
「通信教育の為にお金貯めなきゃいけないし!神社も経営難だし!嫌でも家計簿と電卓がついて回るのよ!」
「そんなに経営難なのか?」
「牡丹は呑気でいいわね。いい?神社の主な収入源はお賽銭と寄付よ?神主不在の神社に寄付してくれる人なんて居ないし、お賽銭に札束投げ込む人なんて見たことある?それどころか、お賽銭ドロボーの為に、幾らかお金入れとかなきゃいけないし……」
そう言うと、藤が驚いた顔をする。
「盗ませる為に金入れとくのか?」
「神社の中の物まで盗られない為よ」
「どいつもこいつも煩悩だらけだな」
「その『どいつ』にわたしも入ってるの?」
「まぁな。金も煩悩だろ」
「……藤くん?今君が飲んでるお茶の茶葉は誰が稼いだお金で買ったものかなぁ?」