わたし、巫女ですから
うちの神社では、毎年地域の人から依頼を受けて、神主が豆を撒きに依頼主の家を廻るのだ。
今整理しているのは、今年の豆撒き依頼のリストだ。
「今年は神主が居ないから、ちょっと少ないわね……」
昨年まで母さんが整理していたリストと照らし合わせてみる。
やっぱり、神主が居ないならっと、何度か断られた。
神主である父さんが不在の今年は、巫女であるわたしが豆を撒いて廻る。
父さんの手伝いはしていたから、豆撒きの勝手は分かっているものの、肩書きの有り難みはどうにもならない。
下世話な話、この豆撒きは神社の貴重な収入源なのだ。
依頼の減少は非常に痛い……。