わたし、巫女ですから
「はぁ……。わたしだって、ちゃんと鬼退治できるのになぁーーあ」
何気なく振り返って、開いた襖に目が止まる。
開いた襖から、誰かがわたしの様子を伺っていた。
虎柄のパッチワークのジーパン、虎柄の革ジャン。
ちりちりのパンチパーマのてっぺんから、角が一本見えている。
ーー大阪のおっちゃん?
「あのぉ、どうも。鬼です」
ーー……ですよね。
どうして神社に鬼が居るの?
結界があって、入れないはずなんだけどな……。
「おい!人ん家の中先々歩いてんじゃねーよ!」
体格の大きな鬼の後ろから、聞き慣れた声がした。
「……藤。どういう状況なの、これ」
「あ~……。まぁ、色々あってな」
他の同居人の妖怪三人も交えて、藤から事情を聞くことにした。