溺愛協奏曲
あたしの席は窓際の一番後ろ



その前が茜ちゃんだ



怪訝に思いながら教室に入り席に座るとクラスでもリーダー格の派手めな女の子がさっそく



声を掛けてきた




茶色の長い巻き髪を揺らしながら目の前に立つとにっこり微笑む




「おっはよ~ちょ~っと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」




「・・・・聞きたいことってなに?」




茜ちゃんが頬杖をついて答えた




「なんで偽名使ってるの?戸田茜さん、いや大関茜さん?」




「・・・・・・!」




なんでこの人が茜ちゃんの本名を知ってるの?



この学校で茜ちゃんが大関茜だと知る者は先生とあたし位しかいないはず




茜ちゃんは驚きのあまりその場に固まったまま




あたしも驚きのあまり言葉を発せないでいた




「よっぽど驚いたみたいね、だけどあたしだって驚いたわよ


朝一番に精華の生徒全員に一斉メールが届いたのよ


戸田茜は偽名を使っている本名は大関茜、大関組の一人娘だってね



あなたヤクザの娘だったのね、清純そうなふりしてあやうく騙される


ところだった」



「ヤクザの娘やら、男遊び激しいのやらまったくどうなってんのよ


いい加減にしてほしいわ~」



教室の中の空気は張りつめたような感じで相変わらずひそひそ話が続いている




茜ちゃんは俯いたまま握り拳を握りただ黙って座っていた






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