溺愛協奏曲
「あたし・・・誰にも言ってない」




「莉子・・・・」





「茜ちゃんが極道の・・・ヤクザの娘だなんて誰にも・・」




抱きしめられたままつぶやくとぽんぽんと背中をあやすように叩く




「心配すんな、遅かれ早かれいずれはわかってしまうことだ・・

それがちょっと早くなっただけだ・・・」



蓮の悲しそうな瞳を見るのが辛くて・・・・



好きでヤクザの家に生まれたわけじゃないのに



こんな思いを今までどれだけしてきたんだろう



そう思うとあたし自身の辛さとか悲しみなんてとるに足りないもののように思えた



「莉子が言っても言わなくても他の誰かが知っていた可能性だって


あるし俺たちはこんなこと子供の頃から日常茶飯事だ、気にすんな



茜はそんなにやわな女じゃねえよ」



くしゃくしゃと頭を撫でるとニッコリ微笑んだ



「なんか腹へったな~」




「なんか作る?ホットケーキでも焼こうか?」




「ああ、頼むってかなんでホットケーキなんだよ」



「あたしが食べたいの~」



苦笑いをする蓮と二人でホットケーキを頬張りながら他愛もない話をする



そんな時間がとっても大好き



そんな蓮が大切にしている幼馴染の茜ちゃんを苦しめた犯人



茜ちゃんには心当たりがないかあとで聞いてみよう



あたしが茜ちゃんを守る




そう心に誓うあたしに思いもかけない出来事が待っているなんて





誰が想像しただろうか















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