溺愛協奏曲
そんなお兄ちゃんが莉子に恋をした




これは、あたしの計算外




ってか・・・・なんであの子ばっかりなの



蓮にも愛され、お兄ちゃんにも愛されるあの子に嫉妬して唇を噛む




デジカメには仲良さげにホテルから出てくる二人の姿が写る




お兄ちゃんの顔・・・・心なしか穏やかで・・・




優しいような気がした




「ねえ・・・東條組の人も、もちろん蓮さんも二人がラブホ行ったこと


知ってるのよね・・」




玲奈が怪訝そうな目で聞いてきた



お兄ちゃんに好きな人ができたなんて心穏やかではないだろうに




あたしの親友は腕組みをするとショートカットの茶色の髪を揺らしながら



隣に座り口角を上げた




長年の付き合いだから分かる




玲奈のこの目は何かを企んでる顔だ



「もちろん知ってるよ・・・繁華街莉子を探す東條組の人たちでいっぱいだったし


蓮にすぐ知らせは行ったと思うけど・・・だからすぐお兄ちゃんのところに


乗り込んでいった位だし」



「そこでなにもなかった・・・・って二人で言ったとしても


納得したとしても蓮さんだって男だもの、惚れた女が何と言おうと



写真を見れば動揺するにきまってるわ」



ニヤリと笑うとデジカメを見つめる



その一言で親友の考えてることが瞬時にわかった



「玲奈・・もしかして・・あのねあたしが送ってっていったのは蓮だけって意味で」



「なに言ってんのよ!そう・・・・そのもしかしてよ、どうせ波風立たせるなら


大きいほうがいいわ・・・近隣の高校全部にこの写真全部


ばら撒くわよ!茜の一番欲しいもの手に入れてみせる」



そう呟くと意気揚々と東條組を後にする彼女



相変わらずだなと苦笑いして玄関で別れるとタクシーに乗り込む彼女を見つめた




近隣の高校全部って・・・大丈夫かな、まあ玲奈ならうまくやるか・・・



一瞬不安が過ったけれど・・・・




「龍斗さんを取り返すのはそのあと・・・・か」



なにやら思案顔の彼女の呟きをあたしは知らない




















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