溺愛協奏曲
「話ってのは・・・由美子の出産のことなんだが来月の15日に帝王切開での出産が


決まってな・・・でも俺はその日に大事な会合があってどうしてもはずせないんだ



だから蓮と莉子ちゃんに立ち会ってもらえないかと思って呼んだんだ・・・・



どうだろう・・・頼みをきいてくれないか?もちろん由美子の同意も得ている」




「蓮君、莉子ちゃん・・・無理なお願いだとはわかっているんだけど


あたしは父子家庭で唯一の身内の父親もその日は仕事で無理みたいだしこの病院の


先生も日程がつまっててこの日しか駄目みたいで・・・あたしからも



お願いします」




東條組の組長さんと姐さんに深々と頭を下げられ断るに断りきれず・・・・



出産に立ち会うという大役に大抜擢されてしまいました



まあ・・・立ち会うといっても帝王切開は手術なので中までは入れないらしく



外で待っているだけだけど・・・・



今さらながら・・・ってか遅すぎるかもだけど産まれてくるのは蓮の弟か妹で・・・




赤ちゃんの誕生する瞬間に立ち会えるということにドキドキを隠せなかった





「蓮・・・・ビデオ忘れないようにしないとね」




「あ?ビデオ・・?」




「ちゃんと生まれた瞬間の赤ちゃんの顔、かわいく撮らなくちゃ・・・


ね、お兄ちゃん?」




驚いたように目を見開くと蓮は灌漑深げに呟く



「お兄ちゃん・・・・か・・・」




「なんだ、お前今頃気付いたのか・・手術には立ち会えないがその日は


必ず顔を出すから頼むぞ、蓮・・莉子ちゃん」




それから赤ちゃんの性別の話になり先生に聞けば教えてもらえるらしいけれど



由美子さんいわく、楽しみにとっておくそうでいまだにどちらかわからないらしい



和やかな雰囲気で話していると突然のノック音




中に入ってきたのは花柄のワンピース姿の茜ちゃんだった
















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